著者
森田 美弥子
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.93-106, 2018-05-25 (Released:2019-05-25)
参考文献数
21

本稿は,学生相談の視点から大学生が抱える問題の多様化を論じる.学生相談というと,悩みを抱えたり不適応に陥ったりした学生のためのものとみなされやすいが,決してそうではない.広義の教育の一環として位置付けられている.昨今では,学生相談担当者や担当部署のみならず,キャンパス構成員全体で取り組む課題として学生支援が重視されるようになっている. 最初に学生相談の歴史を概観した後,学生相談という文脈で注目されてきたトピックス:(1)スチューデント・アパシー・(2)ふれあい恐怖心性・(3)発達障害傾向を紹介する.大学生における青年期心性の変化が生じているのかいないのか,学生支援の動向とそこで留意すべきことは何か,について検討する.心性という言葉を用いたのは,思考や感情といった心理的機能や行動特性などを含みつつも,青年自身の志向性,メンタリティ,その時々の心の動きに目を向けていたいという姿勢からである.

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@rilantomoko オリズムは「降りる+イズム」で、「優しい若者」の先祖みたいな性格類型だった気がします。 私もどこで知ったのか気になって調べてみたんですが、笠原嘉の『青年期(1977)』が最初みたいですね。 https://t.co/kb4IcxBSh0 専攻内ではふつうでも、あまり一般的な語じゃなかったのかな……
学生相談では、学生さん自身の特性理解を促し、自助の力を高めることが目的の1つです。公助や共助も利用しつつ、“大人”としての自助力をどこまで高められるか。社会人一歩手前の大学生・専門学生を支援する身として、青年期の心性にも配慮しつつ勉強を重ねたい

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