著者
中島 武史
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.109-124, 2021-09-30 (Released:2021-11-16)
参考文献数
50

少数派のみに注目し多数派と切り離された研究は,人々の分断を生み出す危険性がある.このような認識のもと,本論文では分断や二極化を回避する共生のあり方を模索する.最初に,言語面でのサポートとして存在感を増している〈やさしい日本語〉と言語権を批判的に検討し,共生を実現するために不足している論点をまとめる.次に,言語権のもつ二種類の権利保障について確認したうえで,言語権と〈やさしい日本語〉の関係についても検討する.後半部では,言語権を情報保障やコミュニケーションへの権利を含むより普遍的な枠組みに拡張し,障害学的言語権として組み直す.そして,人の多様性にも対応可能な障害学的言語権をもとに,多数派を共生にまきこむことを試みる.最後に,これからの社会言語学は具体的な「場」で起こる相互行為の過程を分析することで,上から与えられた共生ではなく,草の根の小さな共生に目を向ける必要があると主張する.

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[障害学][社会言語学][言語権][情報保障] 中島武史(なかしま・たけし) 2021 「カテゴリーの共生から相互行為としての共生へ」『社会言語科学』24巻1号、109-124

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中島武史(なかしま・たけし) 2021 「カテゴリーの共生から相互行為としての共生へ」『社会言語科学』24巻1号、109-124 / “カテゴリーの共生から相互行為としての共生へ” https://t.co/VWv65Pgug6
カテゴリーの共生から相互行為としての共生へ - https://t.co/2OduCJWZ5q #ScholarAlerts 中島武史 - 社会言語科学, 2021 … さらに,日本語を「聞く」「話す」「読む」「書く」という行為に分けて考えた場合には,「普通」の 日本語による不利益は, #難聴 #聴覚障害 #ろう #手話 #手話通訳 #要約筆記

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