著者
田中 里美
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.67-77, 2014 (Released:2018-10-01)

フィンランドでは、2000 年代後半に加速した自治体合併、および投票率の低下等をきっかけとして、地域レベルでの民主主義があらためて問われている。人々が自治体の運営に参加し、影響力を行使するための制度的、集団的な手段の一つとして期待されているのが、地区委員会である。国内の類似の組織の中で最も強い権限を持っているとされるロヴァニエミ市ウラケミヨキ地区委員会は、20年にわたり、地区住民へのサービスの手配および地域開発の2つの役割を担ってきた。ロヴァニエミ市は2013年から、このしくみを旧ロヴァニエミ市=中心部をのぞく全市に拡大している。本稿は、地区委員会が、フィンランドの農村地域で取り組まれてきた村運動の伝統を生かした参加型民主主義のしくみであることを指摘する。またこれが、身近な地域で利用できるサービスの減少について農村部住民が感じる不安に対して、具体的な解決策を講じていることを指摘する。

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