著者
田中 里美
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.37-45, 2016 (Released:2017-12-01)

フィンランドでは2015年、経済的な持続可能性の保障、行政運営方法の改良とともに、 民主主義の強化を目的として、自治体法が改正された。ここでは、民主主義の強化と関連して、自治体が設置可能な機関として、地域の委員会が取り上げられた。本稿では、これに先行して地区委員会を運営してきたロヴァニエミ市を取り上げ、自治体が、住民の参加と影響力行使の権利を保障するしくみの具体と課題を、現地調査、文献調査によって明らかにする。地区委員会設立後まもなく、ロヴァニエミ市によって行われた調査では、地区委員会の理念、意義について、肯定的な評価が多くみられたが、試行終了を翌年に控えた2015年現在、市の地区委員会担当者は、経費の大きさ、決定にかかる時間の長さから、現状での存続を危ぶむ見方を示している。ロヴァニエミ市地区委員会の例からは、近隣民主主義を実行に移す際の難しさがあらためて明らかになった。

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