著者
藪長 千乃
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.17-27, 2009 (Released:2018-10-01)

1990年代以降のフィンランドでは、所得格差が拡大している。格差の拡大は、地域間でも進行している。こうした状況を生み出した背景として、自治体内部の構造変化、全国レベルでの政策や状況の変化、さらに国際環境からの圧力が考えられる。まず、包括補助金制度の導入と地方自治法の全面改正により、基礎自治体が大幅な運営と財政に関する裁量権を手に入れた。広域・ 全国レベルでは、基礎自治体以外の自治単位や圏域が設定されたほか、自治体及びサービス構造改革プロジェクトが開始され、基礎自治体の枠組みそのものの位置づけが変化している。また、選択的に地域に対して重点的に資源を投下するプログラムも導入されている。EU・EMU加盟、グローバリゼーションの進展を背景理由としてこうした一連の改革が推し進められたといえる。格差の拡大は、こうした構造の中で、国際競争に耐えうる基盤形成のための努力の反映といえよう。

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