著者
足達 淑子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.36-55, 1989-03-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

肥満に対する集団行動療法の効果を検討する目的で,保健所において行動療法の個人治療を併用した治療を個別群15名(年齢48.1歳,BMI27.8kg/m^2)に,行動療法の集団治療のみを集団群27名(50.1歳,28.9kg/m2)に,一般的な栄養と運動指導を比較群57名(50.5歳,28.5kg/m^2)に行なった。6か月の治療期間中の脱落者は個別群が2名(13.3%),集団群が5名(18.5%),比較群が31名(54.4%)であり,これを除いた個別群13名,集団群22名,比較群26名についての結果は次のとおりであった。行動療法の2群は減少体重が約6kgで比較群の2倍であり,個別群と集団群では,治療期間中は差がなかったが,2年の追跡調査では個別群が優れていた。また行動療法群では,治療初期の減少体重,治療のコソプライアンス,終了時の減少体重が,治療終了後の効果の維持と関係があった。そのほかに,開始時の体重と体脂肪量,および減量希望体重が治療効果に影響した。行動療法群は減量効果のほかに血中脂質の改善,摂取エネルギーの減少,身体的および精神的自覚症の改善を認めた。以上より行動療法は,肥満の安全で有効な治療法であると結論した。

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ひょんなことからダイエットCBT研究に関わることになり、最近勉強中。1989年に、日本で2年の追跡調査を含む肥満に対する個別vs集団vsアクティブコントロールの行動療法の効果比較の論文が出ているのすごい。アウトカムとして血液データも。 https://t.co/AIIG8KP8pr

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