- 著者
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園山 繁樹
- 出版者
- 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
- 雑誌
- 行動療法研究 (ISSN:09106529)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.1, pp.55-66, 2008-09-30 (Released:2019-04-06)
学校に関連する場面で複数の嫌悪的体験をしたことを契機に登校拒否を示した小学2年生女児1名を対象に、母親を不安拮抗刺激とした段階的再登校法を中心とした介入を行い、その効果を検討した。本児の場合、登校拒否の契機として、友人の転校、不審者との接触、雨中での重い荷物を持っての下校など複数の嫌悪的体験が推測された。具体的な介入としては、母親面接、母親が付き添っての登下校と段階的な授業参加、授業参加記録表の活用、小学校の不登校検討委員会との協議などを行った。その結果、約1年間の介入によって、本児一人での登下校および全授業参加が可能となり、登校拒否行動はみられなくなった。4年間のフォローアップにおいても特別な問題はなく、病欠も含め欠席は1日もなかった。複数の嫌悪的体験が契機となった登校拒否について、持続的な不安反応に留意した段階的な再登校支援の必要性が示唆された。