- 著者
-
下山 真衣
園山 繁樹
- 出版者
- 日本行動分析学会
- 雑誌
- 行動分析学研究 (ISSN:09138013)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.1, pp.30-41, 2010-09-23
研究の目的 激しい自傷行動を示す自閉性障害児を対象にカリキュラム修正と前兆行動を利用した代替行動の形成を行い、自傷行動の軽減に対する効果を検討した。研究計画 フェイズ1と2のみ場面間多層ベースラインデザインを用いた。場面 大学相談室及び小学校の特別支援学級で行った。参加者 特別支援学級に在籍する9歳の自閉性障害男児1名が参加した。介入 フェイズ1では学習課題に対象児の好きな物を取り入れ、課題の順序を選択できる内容に変更した。前兆行動が生起したときに、フェイズ2では対象児に前兆行動が生起したことを担任が知らせてから休憩をとらせ、フェイズ3では対象児が休憩要請をした場合に休憩をとらせ、フェイズ4では対象児が軽く机を叩くようにした。行動の指標 問題行動と代替行動の生起頻度についてデータを収集した。結果 フェイズ2までで激しい自傷行動は減少し、フェイズ3とフェイズ4では休憩要請行動が増加し、自傷行動はほとんど生起しなくなった。結論 カリキュラム修正を行い、前兆行動を利用することで激しい自傷行動を減らし、代替行動を促進する可能性が示された。