著者
安斎 勇樹 東南 裕美
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.155-174, 2020-10-10 (Released:2020-10-15)
参考文献数
26

本研究の目的は,ワークショップ熟達者のファシリテーションの実践知を構造的に明らかにすることである.本研究では,3名の熟達者を対象とした観察調査とインタビュー調査を行った.分析の結果,熟達者はファシリテーションの場面において知覚した情報を,個人の心理や集団の性質・関係性に関する概念的知識に照らし合わせ,参加者の観察・プログラムの調整・情報伝達の調整・関係性の調整・リアクションの調整に関する手続的知識を用いて具体的な行為を決定していることが明らかになった.また,これらの背後には,ワークショップが権威や規範から解放された民主的な手法であることに価値を置くメタ認知的知識が共通して存在していること,またそれらのメタ認知的知識同士には葛藤関係があり,それによる熟達者固有のファシリテーションの困難さが存在していることも示唆された.分析結果から,実践者育成に関するいくつかの示唆が得られた.

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共創プロセスにおいて必須のファシリテーションのスキル。現場によって必要なものは違いますが、こちらの論文では”熟達者”が気を配っているポイントが抜粋されており参考になります ワークショップ熟達者におけるファシリテーションの実践知の構造に関する記述研究 https://t.co/z3yYeEYroK
教育工学がアツい。 「ワークショップ熟達者におけるファシリテーションの実践知の構造に関する記述研究」でまとまっている熟達者の実践知の表がかなり使える https://t.co/uk6GAlRuks
ファシリテーションとは何ぞや?というボヤッとしたものをクッキリさせたいので、安斎さん、東南さんの論文を読んでいるんだけど、逆にクッキリし過ぎてぼくのファシリテーション乳歯じゃ咀嚼しきれない。 https://t.co/DqUIDgjF1p
読んでる。ワークショップ熟達者3名のファシリテーションのようすを観察したうえでインタビューを行い、ワークショップの状況を知覚して、ワークショップに関する価値観を参照して判断を行う実践知の構造を導き出してる。めちゃ面白い→ https://t.co/j0In8mlbjC

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