著者
東南 裕美 安斎 勇樹
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.3_43-3_52, 2022-01-31 (Released:2022-02-05)
参考文献数
24

本研究の目的は, 三浦半島における事例研究を通じて, 観光まちづくりに有効なデザイン・ワークショップのモデルを提案することである. そこで, 一般的なデザインプロセスに基づいて「観光まちづくりにおけるデザイン・ワークショップの仮説モデル」を作成し,ワークショップを実施した. 一般的なデザインプロセスでは, 「ターゲット設定」が最初のステップになることが多い. しかし, 観光まちづくりの場合は,「地域の問題定義と資源の整理」というプロセスがターゲット設定に大きく影響する.観光まちづくりにデザイン・ワークショップを応用する際には, 「ターゲット設定」「地域の問題定義と資源の整理」「観光コンセプトの創造」を繰り返し, 最適な三位一体の関係を考えるという特徴的なプロセスをたどることが明らかになった. この特徴を踏まえて, 仮説モデルを一部修正し, 観光まちづくりに有効だと考えられるデザイン・ワークショップのモデルを提示した.
著者
西村 歩 安斎 勇樹 和泉 裕之 東南 裕美
出版者
特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構
雑誌
人間中心設計 (ISSN:18829635)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.38-47, 2023-03-31 (Released:2023-04-16)
参考文献数
39

Design-related "academic societies" are expected to serve as an interface for design practitioners and design researchers to exchange mutual knowledge. However, it is rare for practitioners with "field knowledge" gained from their daily practice to present their research. MIMIGURI, Inc., a facilitation consulting firm, has produced a handbook to support practitioners' analysis of their daily work and research theory culture. This study reviews the process of producing this handbook and examines effective measures to promote practitioners' participation in research activities within the firm.
著者
安斎 勇樹 東南 裕美
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.155-174, 2020-10-10 (Released:2020-10-15)
参考文献数
26

本研究の目的は,ワークショップ熟達者のファシリテーションの実践知を構造的に明らかにすることである.本研究では,3名の熟達者を対象とした観察調査とインタビュー調査を行った.分析の結果,熟達者はファシリテーションの場面において知覚した情報を,個人の心理や集団の性質・関係性に関する概念的知識に照らし合わせ,参加者の観察・プログラムの調整・情報伝達の調整・関係性の調整・リアクションの調整に関する手続的知識を用いて具体的な行為を決定していることが明らかになった.また,これらの背後には,ワークショップが権威や規範から解放された民主的な手法であることに価値を置くメタ認知的知識が共通して存在していること,またそれらのメタ認知的知識同士には葛藤関係があり,それによる熟達者固有のファシリテーションの困難さが存在していることも示唆された.分析結果から,実践者育成に関するいくつかの示唆が得られた.
著者
石黒 千晶 東南 裕美 安斎 勇樹
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.3, pp.47-52, 2023-10-16 (Released:2023-10-16)

創造性の発揮は企業組織にとって喫緊の課題である.近年,海外では創造性に関する自信を示す創造的自己効力感が実際の仕事の場での創造的パフォーマンスに影響することが示されている.本研究では企業の従業員と上司を対象にして質問紙調査を行い,従業員個人の創造的自己効力感とチームレベルの創造的自己効力感が上司による創造性評価に与える影響の違いを検討した.