著者
中村 正
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.14-20, 2011 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
1

筆者は、ドメスティック・バイオレンス(DV)、虐待、性犯罪の男性加害者を対象にした脱暴力へのリハビリテーション(更生)にかかわっている。広い意味での治療的司法の一環として位置づけている実践である。暴力や虐待をとおして満たされている欲求があり、それが習慣化し、長期間、反復されているので、行動的心理的な変容を促すことを主眼にした加害者臨床が必須となる。とくに、対人暴力を伴うので、規範と動機の形成が重要となる。彼らの特性からすると司法的な強制力は不可欠であるが、しかし、効果的な問題行動の修正のためには心理的なアプローチが接合されるべきである。筆者は人格や行為、生育過程や家族関係にかかわるミクロな視点と、男性性にかかわる暴力文化やその社会化というマクロな視点の統合が重要であると考え、両者のリンクが法と心理の連携をとおした修復的-治療的司法の枠組みのなかで可能になると考えている。本稿はそうした立論に包含されている論点を整序したものである。

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『「加害者治療」の観点から : 暴力加害者への臨床論のために(<特集>「司法臨床」の可能性:司法と心理臨床の協働をめぐって)』 中村 正 2011 年 11 巻 1 号 p. 14-20「法と心理」 https://t.co/yQfN29vvpN
「加害者治療」の観点から : 暴力加害者への臨床論のために(<特集>「司法臨床」の可能性:司法と心理臨床の協働をめぐって) https://t.co/EgDNUXEoUt

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