- 著者
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祖父江 逸郎
- 出版者
- 公益社団法人 全日本鍼灸学会
- 雑誌
- 全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.4, pp.466-470, 2003-08-01 (Released:2011-03-18)
臨床のセンスは臨床の実践にあたり重要である。センスの内容は幅広く、その解釈も様々である。知、技、心の3つの要素がバランスよく、渾然一体として、ダイナミックに対応可能な臨床能力であると考えられる。コミュニケーション・テクニック、面接技法、患者心理の理解、臨床倫理、インフォームド・コンセント、告知、EBM、クリニカルパスなど、臨床で共通した基本的臨床能力といわれるものは、必須条件の一つである。さらに、それぞれの専門領域についての最新の知識、技術を熟知し、実践応用可能なことも必須条件である。知、技、心のうち、心については、かねてから主張してきたSympathy (共感) 、Sincerity (誠実) 、Service (奉仕) の3Sをとりあげたい。こうした3Sによる臨床の実践により患者との信頼はより一層深まる。臨床では、様々な問題を分析、理解し、適正な判断による的確な対応が必要である。具体的事例による修練を積み重ねることで、臨床のセンスが培われる。