著者
釜井 俊孝 寒川 旭 守隨 治雄
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.285-298, 2008-02-10 (Released:2010-03-26)
参考文献数
20
被引用文献数
2

今城塚古墳と西求女塚古墳に見られる, 墳丘の地すべりを記載し, 地すべりの発生原因, 移動メカニズムについて考察した. 今城塚古墳では, 新たな年代測定値が得られ, 古墳の崩壊が, 1596年慶長伏見地震によるものであることがほぼ確実となった. トレンチでの観察から, 地すべりの過程は, 震動による盛土のブロック化→基盤粘土中のすべり面の形成 (地すべりの発生) →長距離移動 (基盤粘土の流化) のプロセスをたどったと推定される. また, こうした推定は, 盛土と基盤粘土の土質試験結果からも支持される. 西求女塚古墳では, トレンチでの観察と基盤砂層の動的変形試験結果から, 古墳の南半分が載っていた基盤砂層の液状化によって, 盛土が引きずり落とされるように滑ったものと推定される. 古墳自体は入念に作られたものであり, 多くの場合, 古墳における崩壊・地すべりの主な原因は, 基礎地盤の問題であると考えられる. すなわち, 古墳の地すべりは, わが国のような活発な変動帯に立地する都市において, 基礎地盤情報の収集が, 災害のリスク評価の精度を左右する, 極めて重要な要因であることを示している.

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