著者
籾山 陽子
出版者
日本音楽表現学会
雑誌
音楽表現学 (ISSN:13489038)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-12, 2015-11-30 (Released:2020-05-25)
参考文献数
39

G. F. ヘンデル(George Frideric Handel, 1685-1759)のオラトリオ《メサイア》(Messiah)(1741)の歌詞付けについては不自然な部分があるとしばしば指摘されてきた。本稿では、歌詞付けが特異とされる箇所のうちイタリア歌曲の連声 (elision)の技法が用いられている部分についてその歌詞付けを評価した。まず、作曲当時の自筆譜・指揮譜から現代譜までを参照してそれらの部分の対処の変遷を調べた。次に、英語学の視点から連声に関係する語句の発音の変遷について調べ発音と歌詞付けの関係を考察した。その結果、ヘンデルの歌詞付けは作曲当時の王侯貴族の正統派の発音に従っていること、 当時は違和感がなく滑らかな演奏がなされていたが後世市民階級の台頭により発音が変化したためそれらの歌詞付けで歌うことが難しくなったことが明らかになった。また、当時の発音を復元して演奏した結果、作曲時に想定されていた演奏は歌詞付けと発音が相俟って伸びやかなものだったことも明らかになった。

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ヘンデル《メサイア》の歌詞付けと歌詞の発音-連声の技法をめぐって―*籾山 陽 https://t.co/eKJsawR19Y

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