著者
後藤 丹
出版者
日本音楽表現学会
雑誌
音楽表現学 (ISSN:13489038)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.49-66, 2010-11-30 (Released:2020-05-25)
参考文献数
13

岡野貞一(1878 〜 1941)はいわゆる文部省唱歌の代表的な作曲家とされている。しかし、『尋常小學唱歌』中のどの歌の作曲に関わったかについては不明な部分が多い。 本稿では、まず、「合議制」による『尋常小學唱歌』の制作の過程を、近年になって東京藝術大学で発見され 2003 年に翻刻出版された『小學唱歌教科書編纂日誌』によって検証し、作曲に関しては岡野を含む 6 人の楽曲委員が基本的に独立して仕事をしたことを確認した。 次に、『尋常小學唱歌』以外の資料から、他の楽曲委員 5 名および岡野が作った旋律を探し出し、比較・分析して共通の要素および岡野固有の作曲手法をまとめた。 最後に、抽出した岡野旋律の特徴を『尋常小學唱歌』全 120 曲と照合し、曲同士の関連も考慮に入れつつ、《紅葉》《朧月夜》《故郷》《冬景色》《雁》《秋》《廣瀬中佐》《浦島太郎》《春が来た》《入営を送る》等については岡野作曲の可能性が極めて高いと推論した。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (4 users, 8 posts, 2 favorites)

“…以上の分析から浮かび上がる岡野固有の特徴は次の3点… ①特徴的な音列を、異なるリズム型に乗せて繰り返し用いる ②音列を逆行で、あるいは音列の音の順序を置き換えて使う ③冒頭の旋律的特徴を曲の終わりの部分で圧縮・統合して再現させる” 岡野貞一の旋律構造 https://t.co/eNyIppXg0N
“…本稿では、まず、「合議制」による『尋常小學唱歌』の制作の過程を…検証し…次に、『尋常小學唱歌』以外の資料から、他の楽曲委員 5 名および岡野が作った旋律を探し出し、比較・分析して共通の要素および岡野固有の作曲手法をまとめた。” 岡野貞一の旋律構造 後藤 丹 https://t.co/eNyIppXg0N
旋律構造を分析して作曲者が判定できるなら、そんな面白いことはない。文部省唱歌のうち『尋常小学唱歌』に限ってはそれはあり得ない。岡野貞一という人が本当はどういう人なのか、よく一緒に酒を呑んだ島崎赤太郎と吉丸一昌の記録から読み解いてみるとよい。 https://t.co/UcVVaWn8vg
岡野貞一作曲の可能性が高いなどという誤認識をこれ以上広めてはいけない。文部省唱歌の成り立ちを史料から調べると合議による共同制作と分かる。 https://t.co/kpJSKixfQh
文部省唱歌『冬景色』は、岡野貞一氏の作曲である可能性が極めて高いことが、作風などから推定されているようです。よろしければ↓の論文で、キーワード「冬景色」でページ内検索をして、当該部分をお読みになってみてください。 岡野貞一の旋律構造 https://t.co/DDzdQpMfJe https://t.co/kuR8Se3GHc https://t.co/WY6zR7UBdH
文部省唱歌『冬景色』は、岡野貞一氏の作曲である可能性が極めて高いことが、作風などから推定されているようです。よろしければ↓の論文で、キーワード「冬景色」でページ内検索をして、当該部分をお読みになってみてください。 岡野貞一の旋律構造 https://t.co/DDzdQpMfJe https://t.co/kuR8Se3GHc https://t.co/WY6zR7UBdH

収集済み URL リスト