著者
瀬戸 心太 井口 俊夫 Robert MENEGHINI 阿波加 純 久保田 拓志 正木 岳志 高橋 暢宏
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.205-237, 2021 (Released:2021-04-19)
参考文献数
50
被引用文献数
51

全球降水観測(GPM)計画主衛星搭載二周波降水レーダ(DPR)の降水強度推定アルゴリズムを開発した。DPRは、Ku帯レーダ(KuPR; 13.6GHz)およびKa帯レーダ(KaPR; 35.5GHz)から構成される。KuPRアルゴリズムは、熱帯降雨観測衛星(TRMM)搭載の降雨レーダ(PR)のアルゴリズムと同様であるが、降水強度Rと質量重み付き平均粒径Dmの関係(R-Dm関係)を、減衰係数kと有効レーダ反射因子Zeの関係(k-Ze関係)の代わりに使用している。R-Dm関係は、KaPRアルゴリズムおよび二周波アルゴリズムにも使用できる。一周波アルゴリズムおよび二周波アルゴリズムともに、R-Dm関係の修正係数εに暫定値を仮定した前進法によりプロファイルを推定し、その結果を評価して最適なεを選択する。二周波アルゴリズムの利点は、εの決定のために二周波表面参照法およびZfKa法(KaPRの減衰補正反射強度Zfを用いる手法)を用いること、およびKuPRまたはKaPRの観測を選択的に利用できることである。また本論文では、R-Dm関係と散乱テーブルの導出およびビーム内非一様性補正手法を詳細に説明している。さらに、アルゴリズムの出力結果を統計的に解析し、各アルゴリズムの特性を示している。

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