著者
鬼頭 昭雄 行本 誠史 野田 彰 本井 達夫
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.1019-1031, 1997-12-25 (Released:2009-09-15)
参考文献数
25
被引用文献数
102 141

大気中の二酸化炭素濃度増加によるアジアの夏季モンスーンの変化を気象研究所全球大気・海洋結合モデルにより調べた。温暖化によりインドの夏季(6~8月)の降水量は顕著に増加するが、逆に850hPaと200hPaの東西風のシアーで定義したモンスーンの風のインデックスは弱くなった。これは850hPaのモンスーン西風の北偏によるもので、サヘルからインド北西部にかけての西風が強化され、一方アラビア海の西風は弱くなる。大気中の水蒸気量が増加するので水蒸気輸送は増加し、降水量の増加をもたらしている。従って風のインデックスは温暖化の良い指標とはいえない。また、中国では降水量変化は少なく土壌は逆に乾燥しており、インドと大きく異なる変化をしている。インドの降水量の年々変動は温暖化により増加した。しかしながらこの年々変動の大きさは制御実験・二酸化炭素濃度漸増実験ともに数十年スケールで変化しており、温暖化による降水量変動度の変化の推定には注意を要する。

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@MichaelEMann @holy_kau Wires crossed perhaps? This is mainly about internal vs external signals not dynamic vs thermodynamic. The wind-precipitation paradox goes back at least to Ueda et al. (2006)... https://t.co/8uE1q9lQR9 ... and actually even further to Kitoh et al. (1997) https://t.co/NvmuTM8HyT

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