- 著者
-
窪田 亜矢
- 出版者
- 公益社団法人 日本都市計画学会
- 雑誌
- 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.3, pp.1358-1364, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
- 参考文献数
- 38
東日本大震災後に都市計画が適用された状況をふまえれば、都市計画において合理的な目標像を設定できたとはいえない。都市計画の再考が必要である。都市計画は、特定の都市や地域を対象に、今よりも良い状態が存在し、それを合理的な目標像として描き、規制と事業によって実現できるという信念に基づいている。現状からの変化を前提としているので、個人の移動の自由を制限することを原理的に包含している。しかし、個人の移動の自由とは、現状保障を基本とする居住や事業を営む場所に関するもので、個人の命や生活に関わる重大な自由である。そこで、現状の都市計画に、個人の移動の自由を尊重する規範を並立させる必要がある。