著者
小関 玲奈 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.745-752, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
35

本研究の対象である松江には,城下町の街路構造や城濠などの歴史的な都市構造が残存しているが,近代化以降,交通インフラの変化や近世から繰り返し経験している大火や洪水といった外的圧抑を受容してきた.そこで本研究は,(1)社会基盤,(2)社会構造(人口・地価),(3)地割,の3つの視点により近代以降の松江の都市形成過程を分析し,近代化と災害を受けてどのように都市構造を変化させ,あるいは松江の歴史的基盤を継承してきたのか,その過程と要因を明らかにすることを目的とする.都市計画・基盤整備の歴史と地区ごとの人口・地価動態の分析により,大火と洪水という災害が中心市街地内部の地区改良と大橋近傍の拠点性と城濠の温存,中心部からフリンジ部,郊外部へという人口の流動に影響を与えたことが明らかとなった.こうした近代化と災害を契機としたマクロな都市構造の変化はミクロな地割形態の変容過程にも影響を与え,現在の地区ごとの特徴や歴史的資源の残存の程度に違いをもたらしていることを,字図を用いた地割分析により示した.

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昭和2年の白潟大火と6年の末次大火によって「京橋川を浚渫し埋立は中止せん」との慎重論が山陰新聞を中心に展開されたことから水路の防火帯機能が認められた一方で、大火と建物疎開のたびに区画整理が進みつつも舟運を生かした土地利用や雑賀町の近世街区が温存されました。 https://t.co/sGVNEEdm6r
松江城下町構造の変容とその継承過程に近代以降の大火と洪水が与えた影響 https://t.co/FmWVFfCxSW

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