- 著者
-
松井 剛
- 出版者
- 日本商業学会
- 雑誌
- 流通研究 (ISSN:13459015)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.1, pp.1-14, 2004 (Released:2011-05-20)
- 参考文献数
- 19
本論文の目的は、1990年代半ば以降、「癒し」を訴求する製品やサービスを、様々な業界に属する多数の企業が提供した理由を明らかにすることにある。このプロセスを明らかにするために、本論文では、「癒し」関連の新聞記事 (1,162件) を活用して、企業行動とこれに対するマスコミの解釈を詳細に分析した。このブームが生じた理由として通常、「癒し」ニーズの増大が理由として挙げられるが、本論文が注目するのは「癒し」の認知的制度化が組織フィールドにおいて成立したことである。つまり、「癒し」訴求製品がヒットし、多数の模倣者が出現することによって、この種の製品を提供することの正統性が高められたのである。