著者
二川 健
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.3-8, 2017 (Released:2017-02-17)
参考文献数
11

Unloading環境ではタンパク質のユビキチン化が促進されるので, Unloading環境に暴露したラットの腓腹筋の遺伝子を網羅的に解析し, そのユビキチン化の原因遺伝子を探索した。その結果, 増殖因子のレセプターやその関連タンパク質を特異的にユビキチン化させるユビキチンリガーゼCbl-b (Casitus B-ligeage lymphoma-b) の発現が宇宙フライトにより増大していることを発見した。Cbl-bは, インスリン受容体基質タンパク質 (IRS-1) をユビキチン化し分解へと導くユビキチンリガーゼとして働き, 骨格筋におけるインスリン様増殖因子のシグナル伝達を負に調整していた。また, Cbl-bノックアウトマウスではUnloadingによる筋萎縮がほとんど起こらなかった。これらの所見より, Cbl-bが筋細胞の増殖因子受容体シグナル系を負に調節し, 筋萎縮を引き起こす重要な筋萎縮関連遺伝子の一つであることがわかった。この分子をターゲットにして, そのユビキチン化を阻害できる栄養素材も発見した (2件の特許取得) 。それは, Cbl-bとIRS-1の結合に対する阻害活性を有するDG (p) YMPペプチド (Cblinペプチドと名付けた) とその類似配列を持つ大豆グリシニンタンパク質である。これらはin vitroやin vivo実験においてCbl-bによるIRS-1のユビキチン化を抑制し筋量を増大させた。また, 大豆タンパク質添加食は寝たきり患者の筋力減少の抑制にも有効であった。以上の知見から, リハビリテーション以外に治療法のないUnloadingによる筋萎縮に対する新しい栄養学的治療法の概念も提唱する。

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