- 著者
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柳澤 如樹
髙山 直秀
菅沼 明彦
- 出版者
- 一般社団法人 日本感染症学会
- 雑誌
- 感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
- 巻号頁・発行日
- vol.83, no.1, pp.7-11, 2009-01-20 (Released:2016-02-15)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
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ジフテリア・百日咳・破傷風3 種混合(DPT)ワクチン接種の普及により,百日咳は乳幼児の間では既に稀な疾患となっているが,欧米で10 代から若年成人での発生増加がみられ,日本でも成人の百日咳患者や大学での集団発生が報告されている.青年・成人での百日咳予防のため,米国では成人用DPT ワクチンが認可されている.一方,我が国では成人用DPT ワクチン開発の動きは見られない.そのため青年・成人での百日咳予防のためには,国内で市販されている小児用DPT ワクチンを使用するほかない.我々は,小児用DPT ワクチンの接種量を0.2mL に減量して,30 例の成人に接種し,その効果と安全性を調査した.DPT ワクチン0.2mL 接種後に百日咳抗PT 抗体価は29 例で,抗FHA 抗体価も29 例で上昇がみられた.破傷風抗毒素価は,破傷風接種歴がないと思われる2 例を除いた28 例で上昇していた.小児と比較して接種局所の副反応の発現頻度は高かったが,発熱などの全身反応の出現率は低かった.現在市販されている小児用DPT ワクチン0.2mL を成人に接種することにより,健康上大きな問題なく,百日咳抗体価の上昇が得られると考えられた.