著者
宇都宮 由佳
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.193, 2010 (Released:2010-10-15)

目的:ポルトガルは,16世紀の大航海時代に香辛料を求めアジアへ進出してきた.その際にもたらされたポルトガルの菓子が今日でも各地域に残っている.筆者は,これまで日本,タイ,マカオ,マラッカ等で,どのようなポルトガル菓子が伝来し,現地の菓子にどのような影響を与えたのか,また,現在ポルトガル由来菓子は各地域でどのような発展を,あるいは消失したのかについて調査研究をしてきた.本研究では,16世紀から20世紀半ばまでポルトガル領であったインドのゴアに着目し,他の地域と比較しつつ分析をする. 方法:2005年~2009年12月,継続的に各地域の国立図書館,博物館,教会等で資料・文献調査をおこない,現地の菓子工房,ポルトガル系の家庭でヒヤリング調査を実施した. 結果と考察: ゴアは,インド南西部に位置した米食が主体の地域である.交易のみならずアジアへのキリスト教布教の拠点でもあり,フランシスコ・ザビエルもゴアから日本へ出航した.現在でもポルトガル系の子孫が居住しており,3割がキリスト教信者である.ポルトガル菓子は,教会で発達し布教手段の一つとして伝えられている.そのためゴアは,東アジア地域とは異なり,ポルトガル由来の菓子の種類も多く,名称も本国と同一のものもあった.特に,これまで着目してきた「Fios de ovos(鶏卵素麺)」は,Letriaとも呼ばれているが,ポルトガルと作り方,用いられ方がほぼ同じであった.ただし,ポルトガルのように小麦で作った菓子の上にのせるではなく,ライスの上にのせるという違いがある.ポルトガル系キリスト教徒の家庭でクリスマスや結婚式の際に作られ,母から娘へ受け継がれていた.

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