著者
柳瀬 陽介
出版者
外国語教育メディア学会(LET)関東支部
雑誌
外国語教育メディア学会関東支部研究紀要 (ISSN:24323063)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-18, 2022 (Released:2022-12-24)
参考文献数
20

本稿は、「サイボーグ」「言語ゲーム」「複言語主義」という概念で知性・言語・言語教育についての問い直しを行い、英語教育における機械翻訳の使用について論考する。人間の知性は媒体や道具の使用を不可欠とするので、人間は「生まれながらのサイボーグ」とも呼べる。AIの利用は人間知性の否定にはつながらない。言語は、言語ゲームという具体的な営みで分析するならば、機械翻訳の使用が適した言語ゲームと適さない言語ゲームがあるのが当然である。英語教育を単一言語主義的に考えれば、英語ライティングの中で母語(日本語)を利用する機械翻訳は不適切となるかもしれない。だが英語の使用・学習も、会話といった瞬時的・即興的なものからエッセイ執筆といった長期的・反省的なものまで多様である。さまざまな言語ゲームにおいては、外国語使用・学習者も複言語主義が提唱するように、学習者自身がもつ(母語能力も含めた)あらゆる言語的リソースを使いこなすことが認められるべきだろう。英語教育への機械翻訳導入については、個別的・具体的に考えるべきである。

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柳瀬陽介 (2022) 「機械翻訳が問い直す知性・言語・言語教育―サイボーグ・言語ゲーム・複言語主義― 」『外国語教育メディア学会関東支部研究紀要』 7 巻 p. 1-18 https://t.co/f0p0CsO8Jz 刊行に際して編集委員会の皆様には大変お世話になりました。心より御礼申し上げます。

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