著者
高田 靖司 植松 康 酒井 英一 立石 隆
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.89-94, 2014-06-30 (Released:2014-06-30)
参考文献数
24

隠岐諸島をはじめ,本州から九州におけるカヤネズミ(Micromys minutus)の12集団について,下顎骨の計測値にもとづき,多変量解析(主成分分析,正準判別分析)をおこない,地理的変異を分析した.その結果,下顎骨について,全体的な大きさ(第1主成分)には集団間で差は認められなかったが,形(第2–第3主成分)には集団間で有意な差が認められた.特に,第2主成分は島の面積との間に有意な相関が認められたので,何らかの要因が形態変異に作用した可能性がある.正準判別分析では,隠岐諸島の集団間で形態変異が認められた.この変異には島の隔離に伴う遺伝的浮動が働いたと考えられた.しかし,下顎骨の大きさ(第1主成分)について集団間で差がみられず,また,遠く離れた地域の集団間で形態的な違いがみられなかった.これは,Yasuda et al.(2005)が明らかにしたように,日本列島におけるカヤネズミの低い遺伝的多様性を反映しているかもしれない.

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「隠岐諸島および本州-九州におけるカヤネズミの形態変異」 https://t.co/mX2UPmGkwG カヤネズミはmtDNAの解析でもわかるように地理的な変異が少なく、遺伝的な多様性の低い単系統群であるらしい。 比較的短期間に拡散したのだろうか??
「日本列 島におけるカヤネズミは,地理的な分化をほとんど示さず,韓国の集団にきわめて近いので,最近朝鮮半島から 移入したと推測した」 https://t.co/mX2UPmphuG カヤネズミは最終氷期にどうやって日本に来たのだろう。

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