著者
松浦 友紀子 伊吾田 宏正 岡本 匡代 伊吾田 順平
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.11-20, 2015 (Released:2015-07-04)
参考文献数
17
被引用文献数
3

日本では,食肉として流通するニホンジカ(Cervus nippon)の内臓摘出は解体処理場で行うことが推奨されている.それに対してシカ肉の流通が盛んな欧州連合では,肉の品質保持および衛生的観点から,野外での内臓摘出が認められている.本研究では,野外での内臓摘出の導入について検討するため,野外で内臓摘出した肉の衛生状態を明らかにした.調査は従来の方法である解体処理場で内臓摘出した4個体の枝肉と,野外で内臓摘出した10個体の枝肉を用い,肉表面の一般生菌,大腸菌群,O-157,カンピロバクター,サルモネラ,エルシニアについて比較した.野外の内臓摘出は,北海道北部に位置する西興部村で実施した.従来の方法は,北海道西部にある解体処理場のシカを用いて実施した.ふき取り検査の結果,どちらの肉も一般生菌以外は検出されなかった.また,どちらの肉も一般生菌数は汚染の目安となる基準値より低く,とくに積雪期で顕著だった.これにより,野外でも衛生的な内臓摘出が可能であることが明らかになった.ただし,今回実施した野外での内臓摘出は,衛生的な状態を保つためにできるだけ配慮した手法を取っており,衛生管理の正確な知識と技術が必要である.欧州連合の衛生管理をモデルに野獣肉検査資格制度を導入し,捕獲個体の検査体制を整備した上で,野生動物に特化した一次処理方法として,野外での内臓摘出を検討すべきであると考えられた.

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読みやすくてわかりやすかった。/ 野外で内臓摘出したエゾシカ枝肉の衛生状況 https://t.co/0W1V1SQ6WK
ほうほう。 野外で内臓摘出したエゾシカ枝肉の衛生状況 https://t.co/XdATlcjQCT
北海道での事例だけど、屋外で一次処理(内臓摘出)した場合と解体処理場で一次処理した場合、適切に処理すれば屋外での処理でも枝肉の表面から食中毒の原因となる菌類は発見されなかった、という論文。「野外で内臓摘出したエゾシカ枝肉の衛生状況」https://t.co/iYjzDlNAgt

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