著者
吉田 徹
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.2_37-2_54, 2020 (Released:2021-12-15)
参考文献数
90

ポピュリズム研究は、ポピュリスト政治家の戦略や言説に着目するもの、有権者意識・投票行動に焦点を当てるもの、政治経済的動態から説明するものなどに分類される。ただし、それぞれの研究潮流では、通時的・歴史的な文脈は必ずしも考慮されておらず、時々の選挙や政党組織における支持構造や有権者の属性、その主観的態度などが、いわゆるポピュリズム政治といかに結びつくのかを検証したものが多い。本論は、こうしたポピュリズム研究の潮流における政党組織・政党システム研究に、歴史的原因をかけあわせてポピュリズム生成の原因を探る。すなわち、1. 既存の社民政党による新規の合理的戦略によって、2. 支持動員構造が変容したため、3. 右派ポピュリズム政治の台頭を招いたと主張するものであり、具体的には、現代フランス政治を対象に、断続的に与党の座にあったフランス社会党と、西欧において最も成功したと称されるに至った極右ポピュリスト政党たる国民戦線の1980年代から90年代までの支持構造を分析することで、上記の動態的変化を跡付ける。

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「極右」という概念、「すごく右翼」程度の意味で用いられる場合もあるが、政治学的には極右は既存の左右軸とは質的に異なるがゆえに「極右」概念が導入されている面もある。このフランスの例では、極右は「新自由主義的でなく、宗教にも傾倒しない」点で右と区別されている。https://t.co/CRT7D0LjeY https://t.co/ltH4o5yQjF

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