著者
山口 二郎 杉田 敦 遠藤 乾 空井 護 吉田 徹 渡辺 将人 木宮 正史 川島 真 遠藤 誠治 高安 健将 村上 信一郎 宮本 太郎 小川 有美 中北 浩爾 水野 和夫
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-15)

20世紀後半に民主主義国で確立された二大政党制、二極的政党システムにおける政権交代というモデルは、1980年代の新保守主義的政治、1990年代後半の中道左派の復活までは、順調に作動し、民意の吸収と政策転換という効果をもたらした。しかし、2000年代に入って、経済のグローバル化の一層の進展と、雇用の不安定化や格差の拡大は政治的安定の基盤をなした経済的安定を侵食した。その結果、政権交代に対する国民の期待が低下し、ポピュリズムが現れた。こうした危機を打開するためには、従来の左右を超えた政党再編が必要とされている。
著者
畔上 由佳 内山 友里恵 笠原 ひとみ 上田 ひろみ 吉田 徹也 宮坂 たつ子 長瀬 博 藤田 暁
出版者
長野県環境保全研究所
雑誌
長野県環境保全研究所研究報告 (ISSN:1880179X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.57-61, 2011

1992年から2010年までの間,長野市におけるスギ・ヒノキ科花粉の飛散状況調査を継続して実施した.その結果,長野市でのスギ花粉飛散開始は,前年11月の日最高気温が平年よりも高いシーズンでは1月1日からの日最高気温積算値が295℃から388℃を超えるころに確認された.一方,前年11月の日最高気温が平年並みから平年より低かったシーズンでは,229℃から317℃で飛散開始が確認された.スギ花粉最高飛散日の平均は3月27日であった.飛散開始から最高飛散日までの日数は,平均23日であった.スギ花粉総数の中央値は1988.4個/cm2であった.スギ花粉総数が1000個/cm2を超える年では「環境省花粉観測システム(はなこさん)」のデータと,ダーラム型花粉捕集器によるデータは高い相関が認められた.
著者
吉田 徹也
出版者
北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 = Research Faculty of Media and Communication, Hokkaido University
雑誌
メディア・コミュニケーション研究 (ISSN:18825303)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.85-98, 2007-12-14

Im zweiten Kapitel von 《Faktizität und Geltung》 wird ein Ansatz skizziert, “der die Spannweite zwischen soziologischen Rechts- und philosophischen Gerechtigkeitstheorien in sich aufnimmt.” Dabei geht Habermas von dem Perspektivenwechsel aus, den die Politische Ökonomie (Adam Smith und Ricard) und die Kritik der Politischen Ökonomie (Marx) herbeigeführt haben. Die Tradition des Vernunftrechts wurde erschüttert und die Kategorie des Rechts hat ihre theoriestrategische Schlüsselrolle verloren. Der Marktmechanismus und damit das Modell einer anonymen Vergesellschaftung gehen auch in der Gesellschaftstheorie in Führung. In dieser Weise versucht Habermas, einen theoriegeschichtlichen Hintergrund bis zu Systemtheorie in Bezug auf “die soziologische Entzauberung des Rechts” in einer Übersicht darzustellen. Die Rechtssoziologie von Niklas Luhmann markiere den vorläufigen Endpunkt auf dieser Achse. Bei ihm handelt es sich um die Objektivierung des Rechts zu einem selbstgesteuerten System und diesen Sachverhalt stellt Habermas in Frage, weil damit “die Kommunikation über Recht und Unrecht ihres sozialintegrativen Sinnes beraubt” wird. Aber dann, nach der sozialwissenschaftlichen “Unterminierung des vernunftrechtlichen Normativismus” hat die Rechtsphilosophie eine Wendung genommen und seit Rawls’ 《Theorie der Gerechtigkeit》 sei das Pendel zur anderen Seite ausgeschlagen. Rawls’ Theorie der Gerechtigkeit interessiert Habermas, weil Habermas in diesem Werk “die lange Zeit verdrängten moralischen Fragen als Gegenstand wissenschaftlich ernst zu nehmender Untersuchungen rehabilitiert” sieht. Rawls erörtert hier die Bedingungen der politischen Akzeptanz seiner Theorie der Gerechtigkeit und untersucht das alte Problem, wie das Vernunftprojekt einer gerechten Gesellschaft verwirklicht werden kann. Auch in 《Versöhnung durch öffentlichen Vernunftgebrauch》 beschäftigt er sich mit Rawls’ Theorie der Gerechtigkeit. Nach Habermas hat Rawls bei der Betrachtung des gerechten Zusammenlebens von Bürgern eines politischen Gemeinwesens die Kantische Formulierung der moralischen Grundfrage erneuert und eine intersubjektivistische Lesart für Kants Begriff der Autonomie vorgeschlagen. Im Ganzen hält Habermas Rawls’ Projekt und die wesentlichen Ergebnisse seines Unternehmens für richtig und seine Zweifel sollen sich deshalb auf drei Punkte beschränken: (1) ob das Design des Urzustandes geeignet ist,um den Gesichtspunkt der unparteiischen Beurteilung von Gerechtigkeitsprinzipien zu klären, (2) ob er die weltanschauliche Neutralität seiner Gerechtigkeitskonzeption mit der Preisgabe ihres kognitiven Geltungsanspruch erkaufen will, (3) ob er die liberalen Grundrechte dem demokratischen Legitimationsprinzip überordnet. Nach diesem Schema werden hauptsächlich etwa die Begriffe der Schleier des Nichtwissens, der übergreifende Konsens und die Grenzziehung zwischen privater und öffentlicher Autonomie erörtert. Im Hinblick auf die Autonomie weist Habermas nachdrücklich darauf hin, dass Rawls den Akzent vom Kantischen Begriff der Autonomie auf ethisch-existentielle Selbstbestimmung verschiebt und infolgedessen die öffentliche Autonomie in erster Linie als ein Mittel für die Ermöglichung der privaten Autonomie erscheint. Habermas hält am demokratischen Prozess fest, wo sich beide reziprok voraussetzen und immer wieder von neuem die Grenzen dazwischen definieren.
著者
MIAH Mohammad Noor Hossain 吉田 徹志 山本 由徳 新田 洋司
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.672-685, 1996-12-05
参考文献数
31
被引用文献数
5 or 0

多収性の半矮性インド型水稲品種(桂朝2号, IR36; SDI)と日印交雑型水稲品種(アケノホシ, 水原258号; JI)の乾物生産特性と穂重に対する出穂期前後に生産された乾物の分配率などについて, 日本型水稲品種[農林22号, コガネマサリ; 穂重型(JP), 金南風, 中生新千本; 穂数型(JN)]を対照品種として, 作期を2回[移植日1992年5月15日(ET), 6月9日(LT)]設けて圃場試験を行い検討した. 多収性品種(JI, SDI)の穂揃期の葉面積指数(LAI)は両作期ともJP, JNより高かったが, 登熟期間での減少割合が大きく, 収穫期には低い値を示した. SDIとJIの穂揃期地上部乾物重は, LTのアケノホシを除いて, 両作期ともJP, JNより高かったが, 登熟期間の乾物重の増加量に有意差はみられなかった. 特にSDIでは登熟期間のLAIの減少割合が大きく, また, 登熟期後半のSPAD値が大きく低下したことと相まって, 登熟期間の個体群生長速度は最も低くなった. SDIおよびJIの収穫期の穂重はJP, JNと比較してETでは20〜30%, LTでは18〜20%高かった. また, 両作期のSDIとJIの収穫期の地上部乾物重に対する穂重の割合は, JP, JNと比較して有意に高く, この差が穂重差に反映されたものと考えられた. 穂重に対する出穂期までに茎葉に蓄積された乾物の分配率をみると, ETではJPとJNの平均値よりSDIとJIが約2倍, LTではSDIが約4倍それぞれ高い値を示した. 穂揃期の穂重(シンク容量)は収穫期の穂重と有意な相関関係を示し, シンク容量の大きい品種は登熟期間の地上部乾物重増加量が少なくなる傾向がみられた. また, 茎葉に蓄積された同化産物の穂重への分配率はシンク容量と関係が深いことが認められた.

1 0 0 0 OA 三字経訳語

著者
吉田徹三 訳
出版者
文栄堂
巻号頁・発行日
1881
著者
細川 卓也 小松 秀雄 前田 幸二 中村 和洋 吉田 徹志 福元 康文
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.39-44, 2006 (Released:2006-04-11)
参考文献数
15
被引用文献数
4 or 0

有機質成型培地を用いたトマトの長段どり栽培での高糖度果実の多収生産を目的とし,有機質成型培地の水分保持特性を調査し,日射比例給液制御装置を試作してこれを用いた場合の給液量の違いが収量・品質に及ぼす影響を検討した.スギ樹皮やヤシガラとバーク堆肥の混合資材からなる有機質成型培地ではロックウールスラブに比べて排水性が優れ,高pFでの水分率が高い水分保持特性を示した.長段どり栽培では,長期間にわたって葉面積の変動が小さく,積算日射と蒸発散量の間には高い正の相関関係が認められた.ヤシガラ・バーク培地を用い積算日射で1.71 MJ・m−2,1.93 MJ・m−2,2.13 MJ・m−2(第2果房下の葉を除去するまではそれぞれ1.50 MJ・m−2,1.71 MJ・m−2,1.93 MJ・m−2)ごとに100 ml・株−1を給液する3区を設けて収量・品質を比較した結果,可販果収量は給液量の多い区ほど多く,平均糖度は給液量の少ない区ほど高かった.高糖度果実(Brix 8%以上)の収量は,1.93 MJ・m−2(第2果房下の葉を除去するまで1.71 MJ・m−2)ごとに給液する区で最も多かった.
著者
畔上 由佳 吉田 徹也 粕尾 しず子 内山 友里恵 薩摩林 一代 白石 崇
出版者
長野県環境保全研究所
雑誌
長野県環境保全研究所研究報告 (ISSN:1880179X)
巻号頁・発行日
no.5, pp.103-108, 2009

風疹は、感染から14〜21日(平均16〜18日)の潜伏期間の後、突然の全身性の斑状丘疹状の発疹、発熱、耳介後部・後頭下部・頸部のリンパ節腫脹を特徴とするウイルス感染症であり、通常は数日で治癒する予後良好な疾患である。しかし、妊娠初期に風疹に罹患すると、風疹ウイルスが胎盤を介して胎児に感染し、先天性心疾患、白内障、難聴を特徴とする先天性風疹症候群を発生することがある。麻疹は、発熱、上気道のカタル症状、全身の発疹を主な特徴とする急性ウイルス感染症である。麻疹ウイルスの感染力は非常に強力で、いったん発症すると特異的な治療法はないのが現状である。2007年には、首都圏の大学生を中心としたいわゆる成人麻疹の流行が認められ、長野県内においても麻疹患者の発生により、休校・休園の措置を行った学校等も4施設存在した。
著者
宮本 太郎 坪郷 實 山口 二郎 篠田 徹 山崎 幹根 空井 護 田村 哲樹 田中 拓道 井手 英策 吉田 徹 城下 賢一
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01 (Released:2010-08-23)

本研究の主題は、福祉雇用レジームの変容が政治過程の転換をどう引き起こしたか、また政治過程の転換が、逆にいかに福祉雇用レジームの変容を促進したかを明らかにすることである。本研究は、国際比較の視点を交えた制度変容分析、世論調査、団体分析などをとおして、福祉雇用レジームの変容が建設業団体や労働組合の影響力の後退につながり、結果的にこうした団体の調整力に依拠してきた雇用レジームが不安定化していることを示した。同時にいくつかの地域では、NPOなどを交えた新たな集団政治が社会的包摂をすすめていく可能性を見出した。
著者
細川 卓也 小松 秀雄 前田 幸二 中村 和洋 吉田 徹志 福元 康文
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.39-44, 2006-04-01
参考文献数
15
被引用文献数
2 or 0

有機質成型培地を用いたトマトの長段どり栽培での高糖度果実の多収生産を目的とし,有機質成型培地の水分保持特性を調査し,日射比例給液制御装置を試作してこれを用いた場合の給液量の違いが収量・品質に及ぼす影響を検討した.スギ樹皮やヤシガラとバーク堆肥の混合資材からなる有機質成型培地ではロックウールスラブに比べて排水性が優れ,高pFでの水分率が高い水分保持特性を示した.長段どり栽培では,長期間にわたって葉面積の変動が小さく,積算日射と蒸発散量の間には高い正の相関関係が認められた.ヤシガラ・バーク培地を用い積算日射で1.71MJ・m^<-2> 1.93MJ・m^<-2>, 2.13MJ・m^<-2>(第2果房下の葉を除去するまではそれぞれ1.50MJ・m^<-2>, 1.71MJ・m^<-2>, 1.93MJ・m^<-2>)ごとに100ml・株^<-1>を給液する3区を設けて収量・品質を比較した結果,可販果収量は給液量の多い区ほど多く,平均糖度は給液量の少ない区ほど高かった.高糖度果実(Brix8%以上)の収量は,1.93MJ・m^<-2>(第2果房下の葉を除去するまで1.71MJ・m^<-2>)ごとに給液する区で最も多かった.
著者
福元 康文 吉田 徹志 島崎 一彦 土佐 幸雄 西村 安代
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

農薬に頼らない安全な野菜や果実の供給が求められており、新たな殺菌方法としてオゾンが注目されている。しかし、安全性の面から気体でオゾンを利用するには問題があり、オゾンを水と反応させて利用することが有効と考え本研究を行った。マイクロバブルオゾン水は水中でゆっくりと浮上し、オゾンを完全に水中へ溶かし込んで、オゾンが空気中に排出されることがないため安全性が高い。マイクロバブルを用いた場合、水中オゾン溶解濃度は温度が高くなるにつれ低下したが、常に高い溶解能力を示した。水中溶存オゾン濃度の半減期は既存技術と比較すると3倍も長く維持できた。マイクロバブルオゾン水の作物への茎葉への散布ではなんら障害は認められなかった。養液栽培では循環式養液栽培の普及が求められ、培養液のリサイクルでは一部でも病害虫に汚染されると、培養液が循環しているためすべての植物が最悪の場合全滅する恐れがある。マイクロバブルオゾン水によるトマトの青枯れ病予防試験ではオゾン5ppm処理の低濃度接種区で発病を完全に抑制した。なおトマト根部へのオゾン水に対する耐性試験では18ppmの高濃度に対し生育障害は認められなかった。オゾン水の土壌灌注が雑草の発生と生育に及ぼす影響ではオゾン水の土壌灌注回数が増えるにつれ雑草の発芽と生育は抑制された。チンゲンサイの養液哉培(NFT)におけるマイクロバブルオゾン水の利用で生育は促進された。マイクロバブルオゾン水のイチゴへの茎葉散布では生育と果実の収量・品質収量の増加が認められた。これらのことより、マイクロバブルオゾン水を利活用による、農薬に依存しない安心・安全な環境保全型農業の構築への展望が得られた。
著者
山本 由徳 吉田 徹志 宮崎 彰 坂田 雅正
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

良食味米生産の産地間競合が激化する中で,沖縄県を除く国内で最も早い収穫,出荷を目指して,高知県では早期栽培用極早生品種とさぴか(多収性,良食味)を育成した.しかし,普及を開始した1998年に,農家水田において異常(不時)出穂が多発し,収量,品質が不安定となったため普及面積が伸び悩んでいる.本研究では,極早生品種とさぴかに発生した異常(不時)出穂現象を取り上げて,その発生要因と発生防止のための栽培技術的な方策を明らかにしようとした.得られた結果は以下のように要約される.1.とさぴかは北海道育成品種に比べ,最終主稈葉数が少ないため,早晩性を示す播種から止葉展開までの有効積算温度(基準温度10℃)が低く,播種からの有効積算温度が301〜348℃日で幼穂形成期(平均幼穂長1mm)に達することが明かとなった.また,とさぴかは感光性・感温性および基本栄養生長性程度も比較的小さく,これらの特性は交配母本の高育27号と類似していた..2.とさぴかの幼穂分化苗を移植して,不時出穂(主稈)が発生すると,収量は,不時出穂の発生しなかった幼穂未分化苗区に比べ9〜15%少なかった.これは,m^2当たり穂数は多いが,分げつ穂の発育が劣り,1穂籾数が少なく,m^2当たり籾数が減少したことと,発育停止籾割合が高く,登熟歩合が低くなったためであった.また,玄米品質も青米の増加により低下した.3.不時出穂を防止・軽減するために,育苗期間中での幼穂の分化,発育を遅らせるには,播種から200℃日(3.5齢)以上では窒素追肥は行わず,箱当たり播種量を多くして,地上部乾物重/草丈比を低くする管理が必要であると考えられた.また,育苗時の基肥窒素の増施や育苗期間中の剪葉処理も効果的であることが明らかとなった.
著者
宮本 太郎 山口 二郎 空井 護 佐藤 雅代 坪郷 實 安井 宏樹 遠藤 乾 水島 治郎 吉田 徹 田中 拓道 倉田 聡
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

本研究は大きく三つの領域において成果をあげた。第一に、日本の政治経済体制、とくに日本型の福祉・雇用レジームの特質を、比較政治経済学の視点から明らかにした。第二に、レジームを転換していくためのオプションを検討し、各種のシンクタンクや政府の委員会などで政策提言もおこなった。第三に、世論調査でこうしたオプション群への人々の選好のあり方を明らかにし、新しい政党間対立軸の可能性を示した。
著者
吉田 徹
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.15-22, 2003 (Released:2008-06-30)
参考文献数
11
著者
福元 康文 吉田 徹志 島崎 一彦
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

河川湖沼の水質浄化については、その必要性が理解されていながら、河川の環境基準達成率(BOD)は81%と前年同様で、湖沼の環境基準達成率(COD)に至っては僅か40.9%に過ぎず、過去25年間ほぼ同レベルに低迷しており、早急な浄化対策が望まれている。浄化対策で除去された汚泥の処理技術は確立されていない。今までの研究で、セルロースとリグニン主体の製紙スラッジの特性を生かし、それを成型した土壌還元型育苗ポットを開発した。また江の口川と石手川の脱水汚泥を培土とした各種植物の栽培試験より、植物の成長と発育には異常が認められないばかりでなく、むしろ成育が促進される傾向が認められた。脱水汚泥土壌にはもろもろの有機、無機の成分が含まれており、また土壌細菌検査による結果より、土壌消毒の必要が無いほどに有害土壌微生物は少なかったが、それらが植物成育に有利に作用したものと思われた。しかしながらCaやNaに見られる土壌中に含まれる塩類の上昇と汚泥土壌から流亡する同種塩類が周辺土壌へ流れ込み、注意を怠ると塩類集積を招来し植物の成育に悪影響を及ぼすようになる懸念がある。また培土としての利用に当たり、施肥も汚泥土壌に含まれている要素は減じて行う必要がある。今回使用した江の口川と石手川の脱水汚泥土壌に含まれる有害な重金属は微量であったが、これらは今回の2つの川の汚泥土壌でも認められたように、河川によりその含有されている物質と含有量が異なるものと思われるので、利用に当たり事前の化学調査は欠かせない。脱水汚泥は名前からは想像できないほど匂いも無く、見栄えは普通の腐食に富んだ土壌と遜色はない。道路工事現場への入れ土としての利用には未耕地山土より抑草作用が劣ったため、利用上問題が認められたが、逆に植栽度あるいは土壌改良をともなった畑土への客土としての利用の可能性が強く示唆された。