- 著者
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ビアルケ (當山) 千咲
柴山 真琴
高橋 登
池上 摩希子
- 出版者
- 公益社団法人 日本語教育学会
- 雑誌
- 日本語教育 (ISSN:03894037)
- 巻号頁・発行日
- vol.172, pp.102-117, 2019 (Released:2021-04-26)
- 参考文献数
- 19
本研究は,ドイツの補習校に通い,ドイツ語を優勢言語,日本語を継承語とする独日国際児の事例において,二つの異なるジャンルの二言語の作文力が,小4から中3まででどのように形成されるのかを分析した。対象児は,日本居住の日本語母語児に比べ産出量や語彙,構文の多様性等の伸びが遅れながらも,談話レベルでは母語児に近い評価の作文を書いていた。その背景を二言語作文の縦断的分析により探ったところ,優勢なドイツ語に牽引されるように日本語も伸び,まず接続表現や構文の複雑化によって論理的つながりが改善され,次に全体構成や内容の高度化が生じることがわかった。またドイツ語作文のレベルに近い日本語作文を,限られた日本語の表現手段を工夫して書いているが,複雑な内容の説明における文法的誤用や漢字熟語の不足等に表現上の困難が見られた。以上の発達過程の特徴から,補習校での指導への示唆を抽出した。