著者
三宅 俊浩
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.1-17, 2019-12-01 (Released:2020-06-01)
参考文献数
16

本稿は近世尾張方言におけるラ抜き言葉の成立過程について論じる。尾張方言では,中央語(上方・江戸)に約100年先駆けて19世紀初頭にはラ抜き言葉が用いられるが,初期は2拍動詞にのみ起こる現象であった。その成立は,尾張ではラ行五段動詞の可能動詞形(ex. おれる)と尊敬レル形(ex. おられる)の意味対立をラ音の有無によるとみなす異分析が生じ,この異分析が[語幹‐接辞]の分析が困難な2拍一段動詞に過剰適用されたことによると推定した。この「異分析の過剰適用」を促した主要因はレル・ラレル敬語法と,可能動詞として頻用されるラ行五段動詞オルであると考えられる。この仮説によれば,同条件を備えていない中央語ではラ抜き現象が生じず,同条件を満たす中国地方にラ抜き言葉が多いこととも整合する。

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メモ 『近世後期尾張周辺方言におけるラ抜き言葉の成立』 三宅俊浩 『日本語の研究』第15巻3号 2019.12.1 「尾張方言では,中央語(上方・江戸)に約100年先駆けて19世紀初頭にはラ抜き言葉が用いられる」 https://t.co/DhuJqCsFBy https://t.co/6Qw7eoiU9v
→つまり,使用率の高い地域では中央からの伝播ではなく独自に成立したと考えられる。 したがって,中央語史(上方・江戸)の観察だけでは成立過程解明が困難である。'' 『近世後期尾張周辺方言におけるラ抜き言葉の成立』(『日本語の研究』第 15 巻 3 号 2019.近12世.1) https://t.co/fowsIeeoSv
J-STAGE Articles - 近世後期尾張周辺方言におけるラ抜き言葉の成立 https://t.co/DwDADZNLfE
ら抜き言葉についての論文はこちら⤵ https://t.co/HQDJ3MnJmz
https://t.co/bNDAaPdYJ5 によれば金水(2003)に議論があるようだ
https://t.co/nwvRu60Ue5 三宅俊浩(2019)「近世後期尾張周辺方言におけるラ抜き言葉の成立」。

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