著者
渡辺 茂
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3+4, pp.109-117, 2017 (Released:2018-04-12)
参考文献数
16

【要旨】本稿では動物における共感とはどのようなものであるかを述べ、特に共通経験の役割を論ずる。他個体の嫌悪の表出は観察個体に、いわば生得的に負の情動を起こす。しかし、観察個体にも同じ嫌悪経験がある場合にはその共感が増強される。薬物で誘導される快感でも他個体が一緒に薬物投与を受けると薬物強化効果の社会的促進が見られる。しかし、拘束ストレスなどでは他個体と一緒に拘束されるとストレスは減弱する。つまり、この場合、共通経験は抗ストレス作用を持つ。動物でもヒトと同様に、自分が他者と比べて不公平に不利益な状態に置かれると不公平嫌悪が見られる。しかし、自分が不公平に利益のある状態では嫌悪が弱いか、全く見られない。このことは嫌悪的な事態(拘束など)でも、好ましい事態(摂食など)でも見られる。これらのことは、動物の情動状態が自分の状態そのものより他個体の状態との比較に依存することを示唆する。

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久しぶりにこういうのを読んで仕事のモチベを上げていく https://t.co/mzhD6TNuFk
https://t.co/jC9egeVf5e 共感とそれによるストレスによる行動の変化は結構普遍的に見られるよね。

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