著者
佐藤 幸子 夛名賀 友子 四宮 陽子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.108-116, 2014-03-15 (Released:2014-04-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1 3

うどんのコシの特徴である硬さの不均一性を物理的に解明するために,圧縮によるクリープ測定をモデル化し,ゆで麺表面から中心部への粘弾性分布を測定することを試みた.結果は次の通りである.(1)測定方法のモデル化により,ゆで麺表面から中心部にかけての4点において典型的なクリープ曲線が得られ,試料A(ゆで直後麺)と試料B(ゆで後24時間麺)の各部位は,6要素と8要素に解析された.(2)粘弾性の解析結果,試料AとBの粘性率ηNは107~108Pa・sだが,η1,η2,η3は104~106 Pa・sと小さく,麺内部へかけての変化も見られないことから,ηNに対して無視できると考え,粘弾性を2要素に単純化した.(3)2要素に単純化した試料AとBの緩和時間を計算した結果,AとBともに表面付近は約1分で内部へかけて減少し,中心付近は10秒以下であり,ゆで麺の咀嚼時間1秒以下と比較するとかなり長かった.したがって,ゆで麺の咀嚼では弾性要素の影響が強いと考えられる.(4)試料Aの弾性率は表面から内部にかけて徐々に増加し,「コシが強い」状態を表していた.試料Bは歪率16%で増加して,その後やや減少傾向で,弾力の無い伸びた麺の状態を表していた.(5)官能評価で選択された麺の特徴を表す代表的な用語は,Aは「弾力がある」,「もちもちしている」,「こしが強い」,「つるつるする」,Bは「弾力がない」,「こしが弱い」,「噛み切りやすい」,「やわらかい」であり,クリープの測定結果とよく一致した.

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