著者
山崎 勝之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.305-321, 2006 (Released:2006-08-30)
参考文献数
96
被引用文献数
8 5

「ポジティブ心理学運動」に刺激され,これまで多くの研究がポジティブ感情の役割を調べてきた.本論文では,まず,ポジティブ感情の定義と測定方法にかかわる問題のいくつかを明らかにした.特に,ポジティブ感情の多くの種類が未だ考慮されていない現状を指摘し,あわせて測定方法の精度の低さの問題を強調した.続いて,ネガティブ感情と比較しながら,ポジティブ感情がもたらす多くの恩恵が,知覚,情報処理,健康,対人関係などの広範囲にわたりレビューされた.そのレビューでは,過去においてポジティブとネガティブ感情にかかわる知見の不一致が生じた理由を考察し,不一致の原因を探りながら,両感情にかかわる一致した見解の確立の可能性をさぐった.最後に本論文は,これらの恩恵をもたらす仮説的メカニズムについて明らかにした.本論文の全体を通して,広範囲にわたるこの種の研究がもつ重要な問題を指摘し,それと同時に,今後実施すべき研究を示唆した.今後の研究としては,文化差ならびに介入研究が強調された.

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「ポジティブ感情の役割」 ポジティブ感情はいいイメージがあったが処理の上では、浅い処理を持ちいたり、リスクを過小評価したりとあまりいい影響を与えないこともあるという。広い視野をもたらす。 感情系の論文は初めて読んだがおもしろい。 https://t.co/CZTkpbTIsv
『ポジティブ感情』はクライエントの健康と幸福を促進する重要な1つの要因です。日々の作業療法実践において、クライエントが『ポジティブ感情』を抱くことができているかも確認したいところですね。 https://t.co/G5xwNKFgVB
アメリカでの研究によると、ポジティブ感情がより高い人は、情報の「類似性」と「相違性」を同時により多く捉える。つまり注意の範囲がより広く、全体的な認知がより高い。また、より積極的にリスクに対峙し、自分の弱点に関する情報により興味をもつ。https://t.co/Lnj1awCnrR
「ポジティブ感情の役割――その現象と機序」 http://t.co/zZTX2WwTKk

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