著者
三谷 曜子 北野 雄大 鈴木 一平
出版者
公益財団法人 自然保護助成基金
雑誌
自然保護助成基金助成成果報告書 (ISSN:24320943)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.116-122, 2020-01-10 (Released:2020-01-10)
参考文献数
18

北海道周辺におけるラッコは北方四島を除く全域にて,毛皮を目的とした乱獲により姿を消したとされていたが,2014年にラッコの親子が北海道東部(道東)で確認されて以降,徐々に目撃数が増えている.本研究では,道東沿岸域に再定着しつつあるラッコが,生態系に与える影響について定量化することを目指し,ラッコの行動観察による,行動分類と餌生物判別を行い,アラスカ個体群と比較した.ラッコの行動は,陸,および船上から,ある個体を30分間追跡するフォーカルサンプリングを行い,1分ごとに行動を記録した.行動は,採餌,遊泳,毛づくろい,他個体との接触,見回り,休息に分けた.子連れ個体の場合は,子への毛づくろい,授乳についても記録した.採餌していた場合には,潜水時間と海面に持ち帰った餌の同定,及び海面滞在時間について記録した.この結果,同定できた餌のうち,約7割は二枚貝であり,そのほか,ウニやホヤ,カニを食べていることが明らかとなった.餌生物の少ない環境では,潜水時間が長くなると知られているが,個体数の安定しているアラスカ個体群と潜水行動を比較すると,平均潜水時間は半分程度となったため,環境収容力の限界には達していないと推察できる.

言及状況

外部データベース (DOI)

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@shisochou もさね。https://t.co/gmnM1PSNS9 によると、2004年時点で千島列島のラッコは環境収容力の上限近いとされるもさ。ここから溢れて(あぶれて)道東に漂着し生息範囲を再拡大する過程と言うものが今起きている現象らしいもさね。
道東沿岸域に定着しつつあるラッコについて、個体数の安定しているアラスカ個体群と潜水行動を比較すると平均潜水時間は半分程度となったため、環境収容能力の限界には達していないと推測される。 …とあるので道東沿岸域でラッコが定着し増える可能性があるという事。 https://t.co/Wf89QhlZju
@chimura_ 2014年に根室に再定着とありますね https://t.co/iV4uVKn3ve
Feeding ecology of resettling #seaotters along the coastal area of eastern Hokkaido (A study funded by Pro natura Foundation Japan) *To read English abstract download PDF from the link below. #seaotter https://t.co/kky4fD1II8

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