著者
小林 和彦 辻下 守弘 岡崎 大資 甲田 宗嗣
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.825-830, 2010 (Released:2010-11-25)
参考文献数
16
被引用文献数
5 3

〔目的〕介護老人保健施設に勤務する介護職員が,日頃のどのような移乗介助を行っているかを調査し,その介助方法が対象者の課題遂行行動に与える影響について行動法則に照らして検討した。〔対象〕3箇所の施設の介護職員29名と入所者3名とした。〔方法〕入所者がベッドから車椅子へ移乗する機会を利用して,「介護職員が行った介助」および「入所者の移乗課題遂行後における介護職員の対応」の種類とその回数,「介護職員がそれら介助施行前に入所者の行動生起を“待機”したか否か」を約3週間にわたり調査した。〔結果〕総回数260回の介助の87%で直接“全介助”が行われ,“全介助”が行われる前に“部分的身体介助”もしくは“声がけ”が行われたのは各々8%と5%,“待機”が行われたのは総介助回数の4%であった。また,介助により入所者が移乗課題を遂行した後の介護職員の対応は82%が入所者に対し“無反応”で,“賞賛”や“承認”が与えられたのは3%であり,15%の“中途介助”が行われていた。〔結語〕入所者の依存行動を増加させ,自立行動を減少させる介助が行われている可能性が高いことが示唆された。

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少し古いデータですが、本質的には変わってないような。 施設でも、在宅でも自分で移乗や移動ができた利用者に「うまい」「すごい」と声をかけているか? 賞賛の言葉もなく、自分から動く暇も与えられず、全介助で移乗介助を受ける利用者は生きる意欲さえも失ってしまう。 https://t.co/ixSYOYRry3

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