著者
鳶島 修治
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.201-225, 2020-02-21 (Released:2021-09-24)
参考文献数
42

本稿では、二〇一五年に実施された「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」の日本調査データを用いて、小学四年生の子どもをもつ母親の教育期待の規定要因について検討した。その際、教育期待形成における「準拠集団」としての学校の影響に注目し、学校平均学力と学校SEC(保護者の大卒割合)の効果を検証した。母親の教育期待(子どもに大学進学を期待しているかどうか)を従属変数とするマルチレベル分析の結果として、子どもの学力が高いほど母親は大学進学を期待しやすいこと、母親は子どもが女子の場合よりも男子の場合に大学進学を期待しやすいこと、母親または父親の学歴や職業的地位が高いほど母親は子どもに大学進学を期待しやすいことが確認された。また、母親の教育期待に対する学校平均学力の効果については明確な結果が得られなかったものの、学校SECの効果に関しては、子どもが女子の場合には学校単位でみた母親の大卒割合が、子どもが男子の場合には学校単位でみた父親の大卒割合がそれぞれ有意な正の効果をもっていた。この結果は、子どもと同じ学校に通う児童の保護者たちが母親の教育期待形成における準拠集団としての役割を担っていること、同時に、母親の教育期待形成における準拠集団の選択が子どもの性別という要因に依存していることを示唆するものである。

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鳶島修治「母親の教育期待の規定要因―学校平均学力と学校の社会経済的特性に着目して」 https://t.co/5UbxDSgWQo
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