著者
苫米地 なつ帆
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.101-123, 2015-01-30 (Released:2022-02-06)
参考文献数
29

教育達成には男女間格差が存在し、特に高等教育進学においては「男性は四年制大学、女性は短期大学」という「ジェンダー・トラック」が存在していることが知られている。しかし、同じ家族の子ども、すなわちきょうだいの中でも「ジェンダー・トラック」の効果がみられるかどうかや、きょうだいの性別構成が教育達成における性別間格差とどのように関連しているかは明らかにされてこなかった。そこで本稿では、教育達成の性別間格差が生じるメカニズムについて、マルチレベル多項ロジスティック分析による再検討を試みた。分析の結果、教育達成の格差が生成されるそのメカニズムとして、性別の違いが大きな影響力をもち、同じ家族環境のもとで育った子どもであったとしても性別による教育達成格差がみられることが明らかとなった。また、自分以外のきょうだいを含めたきょうだいの性別構成はほとんど影響をもたないことが示されたが、男性のみで構成されるきょうだいは、他のきょうだいに比べて四年制大学に進学しにくい傾向がみられた。このことから、男性のみのきょうだいではそれぞれの子どもに家族の教育資源が平等に振り分けられ、男性と女性がいるきょうだいの場合には女性への配分を少なくすることで男性を四年制大学に進学させようとする家族の教育戦略があるのではないかということが、改めて示唆された。

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苫米地なつ帆「教育達成における性別間格差 家族環境ときょうだい構成が与える影響」 https://t.co/QeE6gI4Tge
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