著者
大井 慈郎
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.25-48, 2015-01-30 (Released:2022-02-06)
参考文献数
40

本稿は、「フォーディズム都市」をはじめとした、レギュラシオン理論を援用する都市論のもつ、今日の都市分析への展開可能性とその道筋を指摘する。一九七〇年代後半からの先進国における蓄積体制の変化と都市の構造転換に対して、ロサンゼルス学派をはじめとした論者は、レギュラシオン理論を援用し分析を試みた。だが、第一世代のレギュラシオン理論がもつ、国家の位置づけ不在という問題により、フォーディズムの終焉とポスト・フォーディズムへの移行を描ききれず、議論は衰退した。本稿は、David Harveyによる「都市管理主義」から「都市企業家主義」への転換に伴う国家と市場の関係性の変化の議論を、従来のレギュラシオン理論を援用する都市論に取り込み再構成することで、レギュラシオン学派第二世代によるその後の理論的発展を再び都市論へ援用する道筋を提示する。その際、政治と経済を結びつける象徴的媒介としての「貨幣」「法」「言説」の議論に着目し、とりわけ蓄積体制の変化に寄与する象徴資本の減価や増価と関わる「言説」を、国家の役割とともに検討・精緻化することが、フォーディズム都市論の課題の克服につながることを指摘する。その上で、グローバル化が進む今日において、途上国都市をも分析の対象としうることに言及する。以上が、ポスト・フォーディズム都市論の秘めたる射程である。

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大井慈郎「ポスト・フォーディズム都市論の課題と射程」 https://t.co/tHwII27bn6
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