- 著者
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高橋 邦明
- 出版者
- Meeting of Osaka Dermatological Association
- 雑誌
- 皮膚 (ISSN:00181390)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.1, pp.1-23, 1997 (Released:2010-08-25)
- 参考文献数
- 126
皮膚疾患に対する漢方治療法の総論として, 著者が山本巌博士より直接ご指導賜り, 日常診療において実践している実証主義的な体系を紹介した。これに先立って, 漢方医学理論の全般的な理解が必要なため, 漢方医学の中でとりわけ理論体系が確立されている中医学を取り上げて, 基礎理論と弁証論治の概略を述べることにした。漢方医学では, 西洋医学が分析的に疾患を解明しようとするのに対して, 全体の均衡を基本として考える特徴がある。皮膚疾患においても, 皮疹という局所所見を全身所見の背景の中で捉えることが重要であり, 西洋医学とうまく組み合わせることによって, さらに治療の幅を広げることができるものと期待される。