著者
石黒 直子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.415-423, 2001-07-01
参考文献数
30

長野県中部に位置する諏訪湖で起こる御神渡りは宗教的に重要な現象であったため,その記録は550年以上にわたりほぼ途切れることなく継続する.そしてこの記録は冬季の気候復元のための貴重なデータとして注目されてきた.本研究では,この記録を使用するのに際し,重要な問題となるデータの均質性にっいて,・データソースの歴史的変遷の観点から検討を行った.その結果,諏訪大社管轄の記録の中でも,データソースの変化に伴い内容に相違がみられた.とくに,15~17世紀にかけての御神渡りの観測基準が現在と異なり,氷の割れる音を聞いて観測していた可能性が示唆された.さらに近年の気象観測データに基づいた解析から,諏訪大社と諏訪測候所による結氷日の観測基準が異なることに由来する,両者の結氷日の質的な違いを明らかにした.これらの違いに留意してこのデータを使用することによってより精度の高い気候復元が可能になるであろう.

言及状況

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日本の諏訪湖では冬の氷結面に「御神渡り」と呼ばれる現象が起こり神事をとり行って、600年近い出現日の記録の蓄積がある。 (2001年だが)この論文もある: 「諏訪湖の御神渡り記録に関する気候復元資料としての均質性」 https://t.co/0hT6knJYF6 https://t.co/2W31XJwVr7

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