著者
石黒 直子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.415-423, 2001-07-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
28
被引用文献数
4

長野県中部に位置する諏訪湖で起こる御神渡りは宗教的に重要な現象であったため,その記録は550年以上にわたりほぼ途切れることなく継続する.そしてこの記録は冬季の気候復元のための貴重なデータとして注目されてきた.本研究では,この記録を使用するのに際し,重要な問題となるデータの均質性にっいて,・データソースの歴史的変遷の観点から検討を行った.その結果,諏訪大社管轄の記録の中でも,データソースの変化に伴い内容に相違がみられた.とくに,15~17世紀にかけての御神渡りの観測基準が現在と異なり,氷の割れる音を聞いて観測していた可能性が示唆された.さらに近年の気象観測データに基づいた解析から,諏訪大社と諏訪測候所による結氷日の観測基準が異なることに由来する,両者の結氷日の質的な違いを明らかにした.これらの違いに留意してこのデータを使用することによってより精度の高い気候復元が可能になるであろう.
著者
若林 奈津子 石黒 直子 葉山 愛弥 山中 寿 清水 悟 川島 眞
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.417-418, 2013-12-25

我々は2013年4月25日発行の本雑誌に発表した論文(若林奈津子ほか 東京女子医科大学雑誌 第83巻 第2号 86頁〜94頁)で、皮膚型結節性多発動脈炎23例(計24例中、1例は欠測)、リベド血管症11例、健常人コントロール16例で抗フォスファチジルセリン・プロトロンビン複合体(anti-PS/PT) IgM抗体を測定し、皮膚型結節性多発動脈炎におけるanti-PS/PT IgM抗体の関与の可能性について述べた。その後、皮膚型結節性多発動脈炎2例、健常人コントロール38例を追加し、皮膚型結節性多発動脈炎計25例、健常人コントロール計54例について再検討した結果、皮膚型結節性多発動脈炎と健常人コントロールの間でanti-PS/PT IgM抗体の値に有意差が得られたので、追加報告にて可及的速やかに報告する。,再検討の結果、皮膚型結節性多発動脈炎の25例中20例(80 %)でanti-PS/PT IgM抗体が陽性であり、健康人コントロールと比較して有意差(p < 0.05)をもって高値を示したことから、anti-PS/PT IgM抗体が皮膚型結節性多発動脈炎の発症機転において何らかの役割を担っていると考えた。一方、anti-PS/PT IgM抗体 はリベド血管症でも11例中5例(45 %)で陽性であり、1例では高値を示したことから、皮膚型結節性多発動脈炎とリベド血管症の一部の症例ではanti-PS/PT IgM抗体陽性という共通の基盤をもつことが示唆された。,以上より、皮膚型結節性多発動脈炎においては、リベド血管症でみられるような血栓形成が血管内皮障害をきたした結果、最終的に血管炎に発展することが推察され、全身型結節性多発動脈炎からは独立したclinical entityである可能性を考える。
著者
石黒 直子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.415-423, 2001-07-01
参考文献数
30

長野県中部に位置する諏訪湖で起こる御神渡りは宗教的に重要な現象であったため,その記録は550年以上にわたりほぼ途切れることなく継続する.そしてこの記録は冬季の気候復元のための貴重なデータとして注目されてきた.本研究では,この記録を使用するのに際し,重要な問題となるデータの均質性にっいて,・データソースの歴史的変遷の観点から検討を行った.その結果,諏訪大社管轄の記録の中でも,データソースの変化に伴い内容に相違がみられた.とくに,15~17世紀にかけての御神渡りの観測基準が現在と異なり,氷の割れる音を聞いて観測していた可能性が示唆された.さらに近年の気象観測データに基づいた解析から,諏訪大社と諏訪測候所による結氷日の観測基準が異なることに由来する,両者の結氷日の質的な違いを明らかにした.これらの違いに留意してこのデータを使用することによってより精度の高い気候復元が可能になるであろう.