- 著者
-
時松 一成
門田 淳一
- 出版者
- 日本医真菌学会
- 雑誌
- 日本医真菌学会雑誌 = Japanese journal of medical mycology (ISSN:09164804)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.3, pp.155-159, 2006-07-31
- 参考文献数
- 20
- 被引用文献数
-
1
2002年に発売開始されたミカファンギンや2005年に発売開始されたボリコナゾールは, アスペルギルス属に対して抗真菌活性を有する薬剤である. 欧米における大規模臨床試験の結果, ボリコナゾールは, アムホテリシンBに比べ, 侵襲性肺アスペルギルス症に対し優れた有効性を有し, ミカファンギンと同じキャンディン系抗真菌薬であるカプソファンギンは, 好中球減少期における発熱に対し有効性を示した.<br>このように, 今後, ますますアスペルギルス症に対する治療薬剤の選択肢は増加し, その治療方法も大きく変化すると予想される一方, 薬剤選択の多様性から生じる臨床現場の混乱を避けるため, 新たな標準的治療法の確立が望まれる.<br>本稿では, 新規抗真菌薬をめぐる問題として, non-<i>fumigatus Aspergillus</i> の中でも最近増加が懸念されている<i>Aspergillus terreus</i> 感染症に対する新規抗真菌薬の有用性と, 新規抗真菌薬使用下に発生するブレイクスルー感染について記述した.