- 著者
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中塚 雅也
- 出版者
- 富民協会
- 雑誌
- 農林業問題研究 (ISSN:03888525)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.1, pp.135-139, 2008-06-25
地方分権の流れのなかで、新しい地域自治や地域経営の確立が求められている。その一方で、過疎化、高齢化の進行する中山間地域では、基盤となる人口、人材の確保が困難になっており、定住促進、多様な主体の協働促進が重要な政策的課題となっている。定住促進については、近年では団塊の世代をターゲットとした多自然居住の促進など都市部からのいわゆるIターンを促す側面が注目されている。さらに、他出子弟など帰村を促すUターンや他出しながらの出身地域への関与の強化、離村の抑制という側面も重要と考える。後者の課題については、従来から地域への帰属意識や愛着心の醸成の必要性が指摘されるが、個人の価値観や地域との関係性が多様化するなか、地域と個人との望ましい関係について改めて検討することの意義は大きいと考える。以上のような問題意識のもと、本稿では兵庫県篠山市のK地区を事例対象として、地域における多様な主体の属性や集落の役職経験と地域へのコミットメントの関係性を分析することを目的とした。