著者
友田 明美
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.345-351, 2011-09-01
参考文献数
22
被引用文献数
1

児童虐待は, 日本の少子化社会の中でも近年増加の一途をたどっている. 小児期に様々な虐待経験のある被虐待者脳MRI形態の検討により, 虐待や育児放棄による幼少期母子関係の破綻 (愛着形成の障害) が社会性の発達障害を引き起こすこと, さらにその障害が脳の構造機能の変容に起因することが示唆された. 「性的虐待」では, 最初に目に映った情報を処理する脳の視覚野で脳の容積が減ったり, 「暴言虐待」では, コミュニケーション能力に重要な役割を持つ聴覚野で大脳白質髄鞘化が異常をきたしたりすることが明らかになった. 被虐待児に認められる "社会性発達障害" という観点から, こころに負った傷は容易には癒やされないことが予想される. 被虐待児たちの精神発達を慎重に見守ることの重要性を強調したい. しかしながら, 被虐待児たちの脳変成も多様な治療で改善される可能性があると考えられる.

言及状況

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脳機能にも影響があります。 実際に脳の萎縮が起こる可能性があります。 結果、大人になるに連れて所謂発達障害と診断される可能性にも繋がります。 抑えられるのは一時的なもの。 子供を1人の人として、対等に話し合うことが大切なのかもしれないですね。 https://t.co/HUod1ZueZY https://t.co/AOQ7l6lXGW
@mC07OBJzow3DJPf 友田明美氏によると、人間は虐待を受けると脳が委縮しさまざまな機能障害が起こるそうです。 彼女の研究分野が役立つかもしれません。 論文や著書もいくつか出ています。 すでにご存じでしたらごめんなさい。 https://t.co/hPVJJ7aMcr
児童虐待をどうゼロにするか。今のビジネスが落ちついたら次に取り組む。 https://t.co/t2yPSxympL
親に被害者だったことを認識してもらうところからになるので虐待の連鎖を止めるというのは本当に難しい 児童虐待が脳に及ぼす影響 https://t.co/d8YbVzz5Uh
1 1 https://t.co/EGohJ7LH6G

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