- 著者
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吉田 葵
片桐 由希子
石川 幹子
- 出版者
- The City Planning Institute of Japan
- 雑誌
- 都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:1348284X)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.3, pp.637-642, 2011-10-25
本研究の目的は、都市内の崖線上に存在する緑地について、その歴史的背景、保全に至る経緯とその考え方を踏まえた上で、現況における緑地の生態的な質を明らかにし、その持続的な質、つまり生態系機能の向上に対する保全・管理に繋がる基礎的な知見を得ることである。対象地は落合崖線とその崖線上に存在する緑地である新宿区おとめ山公園である。その結果、以下の2点が明らかになった。1)崖線緑地の多くは明治期における邸宅の存在が緑の継承に大きな役割を担っていることがわかった。またおとめ山公園は、江戸期から現在に至るまで、所有者や利用目的がさまざまに変わりながらも、守られてきた貴重な緑地であった。2)崖線上の緑地の質は、種構成において常緑樹の割合が高く、遷移が進行しているという一様な状態であった。また、おとめ山公園の緑地の質を明らかにするために、落葉樹二次林から生態遷移が進行し常緑樹が優占している状態までの植生遷移の段階に着目したビオトープタイプ区分を行った。上層木における常緑樹の割合が高くなるほど裸地化しており、その裸地化した区域の7割が急斜面地であった。また、上層木に落葉樹の割合が高いと更新が起きていた。