著者
上田 賢悦 清野 誠喜
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.368-373, 2013-09-25

栽培地域が偏在し,生産量が少ない地域特産農産物の多くは,国内生産量が年間3万トン以下の農産物である「マイナー作物」として分類される。しかし,そうした作物の生産が集中している地域にとっては,生産・販売の維持及び発展が地域経済にも大きな影響を及ぼすため,その振興が重要な課題となっている。地域特産農産物を対象とした代表的研究としては小野らがあるが,そこでは生産や流通の実態解明に重きが置かれており,地域特産農産物の維持・発展を産地マーケティングの視点から分析するものではなかった。そうした中,市川らは薬用人参を対象として,産地マーケティングの視点からその分析を行い,マーケティング活動の成否が産地に大きな影響を与えることを明らかにしたが,対象としたマーケティング主体はJAのみであった。しかし,何らかの加工処理が施され,製品となる地域特産農産物においては,地域内の加工業者のマーケティング行動が,その振興に対して大きな影響を及ぼすことになることから,JAのみを対象とした分析だけでは不十分であり,地域の加工業者に着目した分析が必要となる。

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