著者
梅本 雅 大浦 裕二 山本 淳子 清野 誠喜 櫻井 清一
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

農産物直売所と地域スーパーにおける、それぞれ約20名の消費者モニターの視点軌跡、発話記録、記憶の状況等に関するデータの解析から、商品購買の際に被験者が記憶している属性数は限られており、特定の属性が基準を満たしているかどうかを確認する方式で商品選好が行われていることや、消費者は商品とPOPとを短時間にチェックしており、両者を交互に頻繁に確認しつつ商品選好を行っていることを確認した。また、29名の消費者モニターに対して視点軌跡把握計測装置を用いた実験を行った。具体的には、Cスーパーの野菜売り場などのスライドを15枚提示するとともに、店舗標準POPと試験POP(機能性やレシピなどの情報を付加したものをレタスやぶなしめじなど4種類の野菜に設置)、さらに、事前の被験者への話しかけ(スライド表示直前に「レタスがお買い得だそうです」や、「夕飯の献立を意識して店舗の様子を見てください」と説明)を行った場合と行わない場合の合計4つの試験区を設定し、被験者のPOP及び商品への注視時間を比較した。その結果、試験用POPでは、POP及び商品に対する注視時間が有意に多かったが、話しかけ有りと無しでは、注視時間の有意な差はなかった。但し、後者については、レタスについては効果がなかったが、ぶなしめじでは注視時間が有意に多かった。このことは、POP内容の工夫や、献立を考えるなど想起購買をもたらすような消費者への働きかけが、商品への消費者の注視を得る上で有効となることを示唆している。この点で、これらの分析結果は、産地マーケティングとして、消費者の注目を得やすいPOP内容や情報提供方法の構築に活用できると考えられる。
著者
滝口 沙也加 清野 誠喜
出版者
東北農業経済学会
雑誌
農村経済研究 (ISSN:2187297X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.56-63, 2011-12-01 (Released:2013-01-28)
参考文献数
15

This study was undertaken to identify the perceptions of male college students in their 20s about dessert products sold at convenience stores. The study elicited the following two findings. First, four "roles" are served by dessert products. Convenience store desserts can be consumed as a "snack for one" that allows a young man to eat freely while moving from one place to another. Another role served by such a dessert is "fun food", which fulfills a young man's desire to eat fancy sweets with his girlfriend on a date. Meanwhile, desserts alone satisfy such roles as a "time spending tool" that facilitates casual conversations with male friends and as "confectionery to explore", which are premium desserts that a young man cannot normally afford but wishes to eat with his girlfriend. The second finding is the direction of the product planning for convenience store desserts. The future development of a "fun food" might be anticipated. More specifically, improving the dessert display while maintaining "affordable prices" and "reduced fear of calories", which are strengths of convenience store desserts, will be necessary in the future.
著者
齋藤 文信 田口 淳一 清野 誠喜
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.61, pp.225-226, 2008-12

転作菜種を基幹とする菜種油の販売に向けた消費者調査。ホームユーステストによる調査。秋田県では、水田転作の推進や遊休農地解消を目的として菜種作付を進めている。そこで栽培された菜種から食用油を製造(搾油)、食用油として使用後その廃食油からバイオディーゼル燃料を製造し、自動車や農業機械の燃料に使う構想を提案している。しかし、国産菜種を原料とした菜種油の割合は原油生産量ベースで0.09%(「我が国の油脂事情2005年」)と極めて少ないことから、国産菜種油の商品流通量は少量であり、商品として認知されているとは言い難い。また、消費者の食用油購入に関する研究は美味しさや機能性に関する研究が中心で、価格帯や原料産地・油分抽出法の違いに関する評価を分析した研究は十分に行われていない。そこで、本研究では消費者の食用油購買状況や秋田県産菜種を原料とした菜種油の評価について価格帯を中心に把握することを目的とする。
著者
金内 誠 清野 誠喜 小山 誠司 橋本 建哉 小林 仁
出版者
宮城大学食産業学部
雑誌
宮城大学食産業学部紀要 (ISSN:18806589)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.37-45, 2009-03
被引用文献数
3

わが国の酒類の消費量は、1975年を境に減少している。特に酒類中で、清酒(日本酒)の消費量の落ち込みは激しく、1975年には126万klあったものが2007年には72万klにまで落込んでいる。このような清酒の落ち込みは若者の清酒離れとも関係が深いと考えられる。そこで、我々は清酒の良さを若者にも理解してもらうために、20〜30代の若い世代の清酒に対する考え方を調査し、若者に好かれるような清酒を造ることとした。それと同時に本学部の食材の生産、加工、流通、消費という一連の食産業の流れを総合的に教育・研究するという理念に基づき、清酒を題材としてそれぞれ専門分野の教員と宮城県産業技術センター職員が課題を担当した。つまり原料の生産から製造、商品開発、流通・消費まで研究できる製品を開発し、それぞれの工程を学生に体験・教育することとした。本研究では、農場での酒造好適米を作り、清酒のマーケティングを行い、ラベルをデザインし、若者にも受け入れられる清酒のコンセプトを造り、さらに酒造メーカーで学生自身が酒造し、最終的には販売まで行うこととした。地域。
著者
滝口 沙也加 清野 誠喜
出版者
日本フードシステム学会
雑誌
フードシステム研究 (ISSN:13410296)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.298-303, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

This study was conducted to identify characteristics of changes in the behavior and perception of continuous users and short-term users of online supermarkets that occur because of online supermarket usage. Continuous users of online supermarkets have a considerable amount of experience in relationships with stores and online supermarkets during operation in all phases of “recognition and consideration of use,” “use and impression after use,” and “repeated use.” Such experience promotes the continuous use of online supermarkets.
著者
上田 賢悦 清野 誠喜 齋藤 了
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.265-266, 2005-12

9月以降に収穫する晩生品種の枝豆に対し、産地は盛夏期の枝豆よりも食味、食感ともに優っていると評価している。しかし、本報告に先立ち実施した調査によれば、首都圏在住の消費者は9月以降に販売されている枝豆に対し、「夏の残り物」というマイナスイメージを購入前から持っている。こうした産地と消費者間の意識の乖離は、産地による「美味しい事実・理由」の説明が不十分であることも、その一因として考えられる。そのため産地側は、この"意識の乖離"を理解した上で、マーケティング対応を検討することが求められる。本報告は、「ホームユーステスト(in-home use test)」により、9月以降に販売される枝豆に対する消費者意識を明らかにし、県産枝豆のマーケティング対応の方向性を検討する。具体的には、(1)9月以降に販売される枝豆に対する消費者意識の把握、(2)9月以降に販売される枝豆の訴求ポイントの検討、である。
著者
齋藤 文信 田口 淳一 清野 誠喜
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.61, pp.225-226, 2008-12

転作菜種を基幹とする菜種油の販売に向けた消費者調査。ホームユーステストによる調査。秋田県では、水田転作の推進や遊休農地解消を目的として菜種作付を進めている。そこで栽培された菜種から食用油を製造(搾油)、食用油として使用後その廃食油からバイオディーゼル燃料を製造し、自動車や農業機械の燃料に使う構想を提案している。しかし、国産菜種を原料とした菜種油の割合は原油生産量ベースで0.09%(「我が国の油脂事情2005年」)と極めて少ないことから、国産菜種油の商品流通量は少量であり、商品として認知されているとは言い難い。また、消費者の食用油購入に関する研究は美味しさや機能性に関する研究が中心で、価格帯や原料産地・油分抽出法の違いに関する評価を分析した研究は十分に行われていない。そこで、本研究では消費者の食用油購買状況や秋田県産菜種を原料とした菜種油の評価について価格帯を中心に把握することを目的とする。
著者
伊東 幸恵 大浦 裕二 清野 誠喜
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.150-152, 2005-06-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
3
被引用文献数
1
著者
市川 聖 清野 誠喜
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.126-131, 2012-06-25 (Released:2014-03-14)
参考文献数
6

This study examines Nagano Prefecture (Ueda area) as a major ginseng production center and reveals the conditions and issues associated with ginseng marketing.Nagano Prefecture has been increasing its sales of red ginseng in domestic markets through its basic strategy of emphasizing the production and processing of red ginseng cultivated in 5 to 6 years, led primarily by JA. Through these efforts, primary-processed products were sold using the channel strategy of focusing on herbal medicine stores that allow in-store demonstrations. Secondary-processed products were sold using product diversification and channel strategies targeting the commercial-use market.However, future marketing activities for all medicinal products using the strengths of the general agricultural cooperative will also be necessary.
著者
齋藤 文信 清野 誠喜 上田 賢悦
出版者
秋田県農林水産技術センター農業試験場
雑誌
秋田県農林水産技術センター農業試験場研究報告 (ISSN:18818757)
巻号頁・発行日
no.48, pp.79-86, 2008-03

エダマメ新品種の商品開発に際して、種苗会社における商品開発と農業試験場における商品開発を比較し、問題点を把握した。その問題点の解決にマーケティングの手法を活用することとした。具体的には、以下の点を実施した。(1)生産者を含めた関係者が連携するための体制整備。(2)店頭マーケティングリサーチ結果の関係者への提示。(3)店頭における販売促進活動の有効性の立証。(4)陳列方法の違いによる購入比率の変北を把握。(5)数量確保に向けた出荷体制の確立と新パッケージ導入支援。以上の取り組みと調査から、(1)開発者から生産者までの関係者で構成される現地推進協議会と県庁が連携し、「香り五葉」の普及拡大が図られた。(2)店頭マーケティングリサーチ実施により、「香り五葉」の販売される9月期のエダマメについて、産地と消費者の間にはギャップがあることが確認された。(3)そのギャップ解消には産地POPが有効であることが消費者購買行動調査によって確認された。(4)アイランド陳列が購入比率を高めることを確認した。(5)アイランド陳列の実施のためにロット確保の必要性を明らかにした。(6)グループインタビューにより消費者のエダマメパッケージに対するニーズを把握し、消費者ニーズに適合した新たなエダマメパッケージの作成支援を実施した。これらのことから、商品開発プロセスにマーケティング手法を活用することの有効性が確認された。
著者
上田 賢悦 清野 誠喜
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.368-373, 2013-09-25

栽培地域が偏在し,生産量が少ない地域特産農産物の多くは,国内生産量が年間3万トン以下の農産物である「マイナー作物」として分類される。しかし,そうした作物の生産が集中している地域にとっては,生産・販売の維持及び発展が地域経済にも大きな影響を及ぼすため,その振興が重要な課題となっている。地域特産農産物を対象とした代表的研究としては小野らがあるが,そこでは生産や流通の実態解明に重きが置かれており,地域特産農産物の維持・発展を産地マーケティングの視点から分析するものではなかった。そうした中,市川らは薬用人参を対象として,産地マーケティングの視点からその分析を行い,マーケティング活動の成否が産地に大きな影響を与えることを明らかにしたが,対象としたマーケティング主体はJAのみであった。しかし,何らかの加工処理が施され,製品となる地域特産農産物においては,地域内の加工業者のマーケティング行動が,その振興に対して大きな影響を及ぼすことになることから,JAのみを対象とした分析だけでは不十分であり,地域の加工業者に着目した分析が必要となる。
著者
清野 誠喜 玉置 怜 滝口 沙也加
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.249-254, 2011-09-25 (Released:2013-04-24)
参考文献数
11
被引用文献数
1

In this study, consumer experiments were used to verify the effects of onomatopoeia used in word-of-mouth reporting among consumers on sensations in the mouth. The results contribute to the knowledge of food companies using word-of-mouth reports that incorporate onomatopoeia for their marketing purposes. (1) The use of onomatopoeia in word-of-mouth reports among consumers improves the expression of the feel of the food in the mouth. (2) However, care should be taken that communication using onomatopoeia reduces, to a bare minimum, the amount of information aside from the onomatopoeia. (3) Consumers experiencing the feel of the food in their mouths, use onomatopoeia more frequently in their word-of-mouth reporting. (4) In particular, the use of onomatopoeia in word-of-mouth reporting persists when onomatopoeic expressions are viewed on product packages.