- 著者
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奥村 萬亀子
- 出版者
- 京都府立大学
- 雑誌
- 京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, pp.63-69, 1977-11-30
時代の変革期に際し, その先がけとして現われるものに風俗の現象がある。歴史を振り返る時, "ばさら"と"かぶき"はその顕著な例である。いずれも変革期における反逆性を精神的基調とする。本稿では"ばさら"について述べる。"ばさら"は, 主として舞や楽を評するのに使われる"ばさ"を語源とし, 正統なる調子から逸脱したところに表われるある種の美的状況を示すものである。こうした表現は当然のことながら, 正統なる世界の枠外のものによって担われているものであった。これが一時代の風俗を示す語となるには, "ばさらぶり"の担い手たちを先導とする経過がある。ここに展開される服飾の様相は伝統的な服飾美からは逸脱した, 異質の主張をもったものである。