著者
徳永 幹雄 金崎 良三 多々納 秀雄 橋本 公雄 梅田 靖次郎
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.105-114, 1991-02-08

昭和61年度西日本年齢別水泳大会に出場し, 決勝に進出した選手を対象にして, 決勝レース直前の不安とそれに影響する要因を調査した。同時に, ベスト記録にどれくらい近いかを示す実力発揮度を算出した。そして, 試合前の状態不安と実力発揮度の関係, および状態不安および実力発揮度に影響する要因を分析した。その結果を次のように要約することができる。1) 決勝レースの実力発揮度はベスト記録に対して98.44%で, 男女差はみられなかった。実力発揮度の高いのは, 年齢別では小学生, 大会日別では第2目目, 競泳距離別では短距離, 泳法別では個人メドレー, 決勝順位別では上位入賞者であった。その他, 実力発揮度に影響する要因として, スポーツ観, 本大会の状況認知, 体調, 決勝レースの状況認知, 大きな大会の経験, 家庭環境などがあった。2) 決勝レース前の状態不安は36.5点(20〜80点)で, 男女差は認められなかった。状態不安が高いのは, 年齢別では中学生, 大会日別では第1日日, 競泳距離別では中距離, 泳法別では平泳ぎ, 決勝順位別では下位入賞者であった。その他, 状態不安に影響する要因として技能の評価, 性格, 大きな大会への経験, 本大会の状況認知, 決勝レースの状況認知, スポーツ観, 家庭環境などがあった。3) 状態不安と実力発揮度には顕著な関係がみられた。すなわち, 実力発揮度が低いのは, 不安得点が高い者と低い者であり, 実力発揮度の高いのは, 不安得点が中位のすこし不安がある者であった。また, 男女差, 年代差によって実力発揮のための不安の適性レベルは異なるのではないかと推測された。4) 状態不安と競技パフォーマンスの関係を実証した。そして, 状態不安や競技パフォーマンスに影響する要因を分析し, 競技不安モデルを再検討し, その有効性を推察した。

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