著者
斉藤 博
出版者
埼玉医科大学
雑誌
埼玉医科大学進学課程紀要 (ISSN:0287377X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.15-25, 2000-03-31
被引用文献数
3

アテネの疫病は, トゥキュディデスの『戦史』2巻には記載されているが, 『ヒポクラテス全集』(『全集』)には記載されていない.アテネの疫病は, 出血性, 発熱性ウイルス性感染症であるマールブルグ病, エボラ熱, 或いは, その類似疾患と考えられる.『戦史』と『全集』の色彩表現は関連性があったと推測される.『戦史』の3巻以降には色彩表現は殆ど認められないが, トゥキュディデスが疫病に罹り, その合併症であるブドウ膜炎による後天性色覚異常になったためと推測される.ヒポクラテスの生年をBC 460年頃とすると, アテネの疫病はBC 430年であるから, 彼は当時30歳代と推測される.『全集』にはアテネの疫病の記載がないが, ヒポクラテスがアテネの疫病に関与しなかったか, 或いは, 後に記載が脱落したかは不明である.

言及状況

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[アテナイ][医学] ペロポネソス戦争中のアテナイの疫病について

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「アテナイの疫病」に対して人々はどのように対処したのか? 史料がないのが残念なのですが『戦史』によれば「伝染」を懸念して看病を避けた人もいるらしい.それでも演劇は上演されたようなので凄惨な状況は加速しただろう... 病名について最大限想像力を働かせた論文↓ https://t.co/Ghx6uUBbJn
ペロポネソス戦争中のアテナイの疫病について / “CiNii 論文 -  アテネの疫病はマールブルグ病, または, エボラ熱か?” http://t.co/dz012oBv

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